Netflixの海外ドラマ「マニアック」前半はネタバレなしのアニス感想、後半はネタバレありで彼らの見たものを考察してみました。
はぁ、疲れた~・・。
10話がなんとも長かった・・。
ただ結論から言うと、多少苦労しても見る価値はあったし、終盤には大きな感動が待ってました!
なんならもう一回始めから見てやろうかな~・・とさえ思う、深くて希望溢れるドラマでした。
【ご留意ください】
当ブログは個人が趣味で書いているもので、夜遅くにウトウトしながら感じたままの感想を綴っています。そのため稚拙な文章、品のない物言い、勘違い解釈、天然ボケなどで皆様をご不快にさせてしまうこともあるかもしれません。(その場合は申し訳ございません。)
その点を含めてお許し頂ける方のみ読み進めて頂けましたら幸いです。
また衝撃ネタバレに関してはそのエピソード分の始めに持ってくることもあるのでご注意ください。(内容を順番に書くわけではありません)
「マニアック」予告編
この「マニアック」は見逃せない!
でも最初はあんまり乗り気じゃなかったんですよね。
まず、テーマが「精神世界」で難しそう。
なのに、予告編を見るとアメリカ人の好きそうな「不条理コメディ」の匂いもして、あぁ、こういう感じは好みじゃないかも・・と。
普通だったらスルーしちゃうタイプのドラマですけど、見逃せない訳がいくつかありまして・・。
- エマ・ストーンとジョナ・ヒルがNetflixドラマ初主演!
- サリー・フィールド、ガブリエル・バーンといった大御所も脇を固める。
- 今注目の日系イギリス人女優ソノヤ・ミズノも出てる。(ララ・ランドにも出てた)
美しい!ただ日本語は苦手の様子・・
- 監督・脚本(一部)に「TRUE DETECTIVE/二人の刑事」で注目を集め、映画「ビースト・オブ・ノー・ネーション」で評価を固めた日系監督のキャリー・フクナガ!
なぜこんなにイイ男?変身前のスーパーマンみたい。
正直私はキャリー・フクナガへの期待がメインで見ましたけど、実際かなり手ごわかった!難解~!
なにしろ「全く出会うことのなかった境遇の異なる2人、アニーとオーウェンが怪しい臨床実験で受け、精神の無限の広がりを体験し、共鳴する・・。」というような内容なので、実験中に見る夢のような世界は基本的に無茶苦茶。
潜在意識や隠れた欲求を表現しているのは分かっても、毎回彼らが扮するキャラも設定も変わるし、時代もいつだかよく分からない。ストーリーもかなり適当。
やけに所帯じみた世界観で突然夫婦になっていたり、スパイみたいな立ち回りでスカッとしたり、極めつけは「ロード・オブ・ザ・リング」のようなファンタジーまで飛び出すので、付いて行くのに息切れします・・。
しかも、一つ一つに意味がある!と考えながら見ないといけないので、無性に疲れる!
フクナガ監督のコメントを読んでみると、
「僕は異なる世界観や、ジャンルを表現するのが好きなんだ。
本作では1つの作品の中にどんな世界でもスタイルでも10個くらい入れても良いということだったので、またとないチャンスだったんだ。
エンターテイメント作品でありながら、その裏には深いテーマも隠されているんだ。
(海外ドラマNAVIより引用)」
うーん、確かに異なる世界観入ってるよ~!多すぎるよ~。
そして、この「深いテーマ」とは何ぞや。と考えながら見ると、あちこちに「謎かけ」や「その答え」が散りばめられてるように思えて、さらに頭が疲れるのです。
「マニアック」ネタバレ無の感想
でも、今思えば「TRUE DETECTIVE」も途中は複雑で見にくいドラマでしたよね。
ただエンディングがあまりに感動的だったので、そんな部分さえ昇華させるような力強さがありました。
このドラマもそうに違いない!絶対報われる!と信じて見続けた訳ですけど、最後はやっぱり良かったです。
まぁ2話で既にこのドラマの真価を感じるような劇的展開がありましたし、感動する要素は分かりやすく丁寧に描かれていたので、他の細かい部分を気楽に見てもきっと面白いと思います。
ただ、彼らの深層心理をこうした映像で知れば知るほど、彼らの苦しみや孤独を深く多角的に理解できるような仕組みになっているので(たぶん)、恐らくは相乗効果的な役割もあるのかなぁ・・と。
最後の感動がより大きくなるように。
それを感じるのは、精神世界で少しずつ変化していくアニーやオーウェンの表情ですね。
徐々に心が解放されていきます。
ここが役者2人の腕の見せ所ですけど、「お~、さすが!だから、この二人でないダメだったのね!」と結果的に納得してしまう脱帽の演技なのです。
コメディとしても笑える(時もある)
アバディーンが日系企業ってことで、日系の俳優さんや日本人がわんさか出てます。
村本博士という役でお笑いの神田瀧夢が出ていたり、(変なテンポが笑えたけど、演技は浮いてた・・)、美しいソノヤ・ミズノも顔を隠すような伊達メガネとカツラで風変りなキャラになってます。(タバコ吸い過ぎだろ)
急に日本語で怒鳴ったり、被験者たちの寝る所がカプセルホテルだったり、日本的な要素も入れつつ、微妙なお笑いもあって苦笑したり・・。
あ、あと突然ド下品な下ネタが出てきたのには笑っちゃった!
ジャスティン・セロー演じるジェームズは哀愁漂ってて好きだったわ~。
サリーフィールドも円熟の演技で、老いても絶好調ですね。
という訳で、どうも予告編だけではピンと来ない。という方はまず2話まで見ることをお勧めします。
ここでアニーの抱える十字架に心を寄せまくった方は、最後まで見てもやっぱり感動できると思います!
*後半はネタバレありの感想です。
「マニアック」のテーマは「結びつき」 by ジェームズ(ネタバレ)
最後のシーンで、この実験装置を開発したジェームズが車の中でアズミに話してる内容がそのままオープニングの宇宙云々の話しに繋がるみたいですね。
彼の声で語られるのはこんな内容。
「銀河系の成り立ちも、生き物の奇跡の発生も全ては衝突や結合から始まった。(一つでは始まらない。常に何かとのコネクションが必要。)
そのコネクション(結びつき)の可能性は無限に広がり、人間の心にもこの真理は当てはまる。」
つまりこの実験自体の目的が「人と人の心を結び付けて苦しむ人を救いたい。」というジェームズの想いが隠されているのかも。
彼自身も子供時代に父親に出ていかれ、大きな傷を負いますよね。
その心の隙間を埋める為に一時は自慰行為にハマったりしましたけど、母の愛を求める為か、結局は彼女の背中を追うように同じ道を選びます。
そんな満たされないジェームズが、今回母と向き合うことで何かを整理し、ようやく一歩を踏み出すことができました。
その際、彼の研究成果であるこの母のマインドを投影したコンピューター、GRTAは完全に破壊するに至りましたけど、結果的にはこれが良かったみたいですね。
愛するアズミとも再度「結びつき」を見出し、2人はどこか遠い土地へ向かっているようでした。
心が見た世界を考察してみる(ネタバレ)
では、ABCの薬を飲んだことでアニーとオーウェンが見たものを少し整理してみたいと思います。
まず、基本ですが、薬の効能ですね。
A ⇒ 過去のトラウマを表面化
B ⇒ 自己防衛本能で隠されてしまっている盲点や欲望を指摘
C ⇒ 「対決」と「受け入れ」
オーウェンの心の旅で見えるもの・・
少しずつ分かってくるのはオーウェンには一貫して自信がないということ。
A錠を飲んだ時には、10年前に統合失調症と診断され病院に隔離された時のトラウマを思い出しました。
好きだった女の子オリヴィアが一緒に勉強しようと頼んできたのは、自分の家族が金を払ったからだと思い込み、彼女を怒鳴りつけてしまった。
彼女の方に実際に好意があったのか、ただ勉強を教えて欲しかっただけなのかは不明ですけど、家族が手を回していたと妄想して錯乱してしまったのはひとえにオーウェンの自信のなさ故なのでしょう。
B錠を飲んだ時には、まずアニーと結婚している映像を見ます。
ここでも彼は彼女を幸せにできていないと思い込み「結婚の立て直し方」という本を読んでしたし、最後にアニーにも「幸せにできなくてごめん。」と謝ってましたね。
当の彼女は素っ気なく「ずっと幸せよ」と答えてましたけどね・・。
ちなみに、なぜオリーが長髪なのかは大きな謎ですね。(ちょいちょい長髪なので、潜在的な憧れがあるのか。)
あと、子守りに60ドル!も払ってたのは男の見栄なの・・?
あとですね、なぜB錠の時にアニーとオーウェンが共鳴して同じ映像を見ていたのかという謎ですけど、これはハッキリ分かりませんでした。
私の想像ですけど、彼らがネバディーンで出会ってからこの時点までの間に、2人はお互いの悲しみを感じ取り、潜在的に惹かれ合ってあっていたのではないか・・ということです。
映像の中で2人が夫婦役で登場するシーンで、オーウェンのアニーを見る目が本当に愛おしそうなんですよね。
まぁ、分かりませんけど・・。
B錠の2番目に見るノワール調の映像ですけど、タキシードに身を包んでバッチリ金庫破りの達人になってましたね。
つかず離れずの関係のアニーにはまだ気持ちが残っているようで、裏切られた時にはかなり悲しそうでした。
この辺も、オーウェンの「いずれ自分は裏切られる」という不安を具現化しているのか・・。
兄のジェドもチラッと登場しては、オリーを悩ませています。
C錠で見る映像は比較的分かりやすかったですね。
オリーは犯罪に染まる残忍な家族の中にいながら、密かに警察だかFIBだかに協力する密告者という立場でした。
ドリルで頭に穴を開けたり、血しぶきやら内臓ボロりのエグい映像もありましたけど、彼にとって家族はまさにそんな感じの悪人たちなんでしょうね。
(ただなんでまた長髪に三つ編みなの?Fワードも連発だし、やっぱり潜在的な憧れを表現してる?)
家族の問題に蹴りをつけ、証人保護で人生をやりなおすことになったオリーはオリヴィアの元へと向かいます。
一番のトラウマとなっている彼女との思い出を払拭すべく、彼は勇気を振り絞ってオリヴィアーにプロポーズ!
彼女は感激してこれにYES!
2人は結婚し、7人の子供をもうけますが、オーウェンはふと思うのです。
「こんなはずじゃなかった・・。」
そして昔自分が助けたものの、兄に殴りコロされてしまった鷹に変身し、アニーの元へと向かうのでした。(でも撃ち落されて死んじゃうけど・・。)
この夢でオリヴィアへのトラウマが若干薄らいだかな?
そして最後の映像ではアニーと楽しそうにドンパチやりまくってましたね。
彼女と生きる人生がいかに興奮と喜びに満ちているかが表現されていました。
オーウェンにとってまさに必要なものが生き生き描写されてましたけど、クライマックスでは自分の力で彼女を救う!というヒーローにもなり、彼の治療は終了となりました。
アニーの心の旅は涙、涙・・
アニーに関してはかなり分かりやすく丁寧に、愛する妹への罪悪感、唯一自分が結び付いてきた人を亡くした悲しみと喪失感に苦しむ彼女が表現されていました。
A錠での、交通事故の場面は本当に衝撃的で、妹役を演じるジュリア・ガーナーがなんとも幼気で可愛らしいのが余計に辛い・・。
アニーの張り裂けんばかりの胸の内が痛い程伝わってきました。
その後のB錠でも、精神的に問題のあった母が自分達を置いて出て行った時の悲しみも描写されてましたね。
妹を守ろうと頑張った切ないあの日の記憶・・。
ちなみに、父がピックアップトラックで泣いていた姿に少女アニーは衝撃を受けるのですが、このトラックは10話の最後の逃亡劇で「父にもらった!」とアニーが言っていたものですよね、きっと。
悲しみのトラックが喜びのトラックに変わりました。
あと、患者に頼まれたキツネザルを取り返すという目的でアニーは頑張ってましたけど、これは妹が残した犬のグルーチョを逃がしてしまったことへの罪悪感からでしょうかね・・。
1話でも貼り紙を作って犬を探してましたよね。
そして、C錠ではついに妹と「対決」し、素直に自分の気持ちを打ち明けることができました。
もう、この場面は私も号泣!!
アニーにとって、本当に別れを告げる事がどれだけ辛いか・・。
「理由は分からなくても、時に人は去っていく」
母が去った時に妹に言い聞かせた言葉を繰り返し、今度もこの悲しい事実を受け入れることにしたようでした。
ちなみに、犬のグルーチョのことも謝ってましたけど、これで気持ち的に区切りを付けられたのか、エンディングでオーウェンと逃亡する時には新しく保護した犬が一緒でした。
その後の2人は・・(ネタバレ)
オーウェンはアニーとの間に起った事に怯え、何もなかったフリをしていましたが、それでも家族に強要された裁判証言では彼らの操り人形にはならず、自分の正義を貫いていました。
アニーは勇気を出して父との関係を修復し、今度はオーウェンの元へ向かう決意をします。
そして病院で2人は再会しますが、この時のやり取りがまた良かった!
やはり失敗を恐れ、アニーに素直に向き合えないオーウェンが「なぜ来た?」と勇気を出して聞くと、アニーは一瞬泣きそうになりながら答えます。
「だって友達だから。」
絶望的に孤独だった2人の奇跡の結びつきを「友達」って言葉で表現するのがまた憎い~・・!
そうそう、彼らの感じた精神の結びつきはホルモンの化学反応的なものとは別物だし、男女の惚れた腫れたの関係を超えたもの。
それを、こんな風に表現するのがまた素敵!
いずれ2人は男女の関係になって一生を共に生きるのかもしれませんけど、一番大事なとこからのスタートってことが、彼らの行先に爽やかな希望を感じさせますね。
オーウェンがカウンセラーに語っていた不安の「一つ目の可能性」はアニーは存在せず自分の妄想だったというもので、これはオリヴィアにしたのと同じことですよね。
自分が好きな女性と上手く行きそうになると不安で妄想に逃げてしまう。
そしてアニーに語っていた「二つ目の可能性」は例え現実に一緒になっても長続きしないで、自分からぶち壊してしまう・・、という不安も同じく自信のなさから。
でも結局最後はアニーの「私は絶対に離れない!」の言葉に後押しされ、勇気を出して「三つ目の可能性」を掴み取ることができました!
新しい人生への期待感がたまらない!
2人とも幸せになってね~!!!(ジェームスとアズミもね~)