「チェスナットマン」期待通りの北欧ミステリー!ネタバレA感想・解説・考察

(出典:Netflix)

このドラマは気になってはいたんですが、時間ないし(ほかに大作が目白押し!)デンマーク作品だしスルーでいいかな~と思ってたんです。

でもツイッターの方でやけに評判がいいし、IMDbも8.1と高いので、ちょこっと見てみようかなぁ・・と。

デンマークだと言葉は英語以上に分からないし、名前も聞き慣れないし、俳優さんもあんまり知ってる人がいないので、エンジンかかるまでに時間かかるのよね~。

と思いつつ見始めたら、もう冒頭からあっという間にハマっちゃいました。

おまけにエグい猟奇的事件が次々起きるもんだから、

怖いよ~。グロイよ~。誰がこんな事やるわけ~??

と、グイグイ持っていかれ、結局3日で完走。(全6話で見やすい。)



前回見た異色北欧ミステリー「はかなき世界」ではとんでもない方面へ連れていかれて脱力したんですが(主演は同じ女優さんのダニカ・クルチッチでIMDbは6.1!涙)、こちらは期待通りの正統派北欧ミステリーでよかったです。

あと子供に関する謎めいた事件も絡んでくるので、その辺もあって絶対途中で止められない仕様になってます。


ちなみにダニカ・クルチッチは今回はシングルマザーとして娘を育てる刑事役。

それほど美人な印象はないけど、逞しくもやさぐれ感のある女が似合いますね~。(「ミスト」もそんな感じだったわ。)デンマークでは相当人気なのかな。




しっかり凝縮したプロットで、事件中心にどんどん行ったのが正解でしたね。(原作小説の方はアマゾンのコメントで見ると「長すぎる。」「冗長的」というのが多かったので改善したのかな。)

キャラの掘り下げには余計な時間をかけなかった印象ですが、それでも子供を失った両親の苦悩は痛いほど伝わって来たし、刑事2人の内面描写も所々に差し込まれてたし、しっかり楽しめましたよ。



ネタバレなしの感想の方では、「面白くて全6話を夢中で見ちゃったよ!!」以外は書けないので(これ以上書くと結末のネタバレになってしまう。)この辺にしておきたいと思います。

これ以降はさっそくネタバレ感想で、色々細かい部分を解説しながら見ていきたいと思います!

気になるラストのあの人のことも!

目次

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当ブログは個人が趣味で書いているもので、夜遅くにウトウトしながら感じたままの感想を綴っています。そのため稚拙な文章、品のない物言い、勘違い解釈、天然ボケなどで皆様をご不快にさせてしまうこともあるかもしれません。(その場合は申し訳ございません。)
その点を含めてお許し頂ける方のみ読み進めて頂けましたら幸いです。

また衝撃ネタバレに関してはそのエピソード分の始めに持ってくることもあるのでご注意ください。(内容を順番に書くわけではありません)

「チェスナットマン」予告編とあらすじ

一人で娘を育てる刑事トゥーリンはやる気のない相棒ヘスと共に残忍な殺人事件の捜査に当たる。

その頃、1年前に不可解な事件で娘を失った社会大臣のローザは悲しみをこらえて復職しようとしていた。

*ご注意ください。次はネタバレ感想・解説です。

「チェスナットマン」ネタバレ感想・解説・考察

(出典:Netflix)

というわけで、犯人は警察の鑑識のゲンツでした~。

だけど、ヘスが壁に貼られたトーケの若い頃の写真を発見したときは「ん?誰?!!」って全然ピンと来なかったわ。

だから誰?!(出典:Netflix)

これ、分かる人いる?!


でもですね~。ちょっと納得な部分があって、それはこのゲンツ役の俳優さんが有名な国際派俳優ってことですね。

デヴィッド・デンシックは過去にこんな作品に出てます。

それと、現在公開中の「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」にも。

なので「ただの鑑識の人」として現れた時に、あ、あの人やん。今回はこんな小さな役なの?とちょっと違和感でしたから。

こういう展開が待ってるなら納得ですね。

それに手際のいい犯行と、手足を切るという猟奇性、警察の一歩先を行くような情報量の多さからしても、鑑識の所長という立場のゲンツでないと無理だったでしょう。

犯行動機は

ローザが双子たちを追い出すため「トーケが自分を傷つける(具体的な内容は不明)」と養母に嘘をついたことでしょうね。

それにより、次に里親に出されたチェスナット農場では妹と共に地下室に閉じ込められ、酷い虐待を受けるに至った。

すべてはローザのせい。ってことでしょう。

なぜローザがそんなウソをついたのか・・ですが、まぁ普通に考えたら嫉妬ですよね。

ローザが自分が養子だったと刑事たちに話した時「私は一人っ子だったの。」と語ったのにチラッと違和感を感じたんです。  ん?そこ大事?って。

なのでこれは想像ですが、それまで養護施設などで大勢の子供達の中で育ってきたローザにとって、自分だけが愛され、義理の両親を独占できるという環境を奪われたくなかったのかなぁ・・と。

ただ、あちらの解説サイトでは、元々トーケに生まれながらのサイコ性があったのではないか・・という説もありました。

実際、5話冒頭の回想シーンでは、養子にすることを告げられたトーケが振り向いてローザを見たときに、ローザが驚いてコップを落とすんですね。

(出典:Netflix)

なので、もしかしたらですが、既にトーケの異常性や危険性を感じ取っていたローザが手を打った・・ということも考えられるかもしれません。(確証はないですが)



ともかく、トーケにしてみれば、自分たちの悲劇はローザのせい。

このローザが子供達を救う社会大臣となり、熱心に法案に力を注ぎ国民的な支持も受けているというのですから、我慢がならないのは当然。常に復讐を果たす機会を伺っていたんでしょう。

まずは彼女の娘を誘拐し、統合失調症のリヌス・ベッカーにさつがいしたと自白させることでローザに究極の苦しみを与える。

この辺は私の想像ですが、証拠の靴についてた泥、ナタについてた血痕などは当然ゲンツが仕込み、本人にも直接入れ知恵したんでしょうかね。

あの男が警察資料にハッキングできるとも思えないので、惨殺写真もゲンツが用意したか、ヤツのパソコンからアクセスした可能性もあるのかな?

そして、君もこの壮大な犯行計画の一部になれる・。と、その猟奇的ファンタジーの虜にさせることで、自白シナリオまで洗脳させたのかもしれません。

トゥーリン達が尋問したときには、明らかに犯人について知っていそうでしたからね。

(出典:Netflix)


ゲンツとしては「子供を救う」という究極の使命と命題がある以上クリスティに手は出せない。

だがローザを苦しめるためには死んだと思わせたいので、こんなトリックを練る必要があったってことかな?

そして、ローザを決定的に苦しめた後は、彼女が主導するソーシャルサービスが見逃した虐待に関して調査し、自らが虐待母に罰を与えることでローザの無能さや傲慢さも同時に指摘したかったのかも。

とはいえ、鑑識の所長になるために法医学の道を歩むのって大変ですよね?

孤児としてその後どんな経過をたどったのか知りませんが、必死に勉強して大学、大学院と進まないと無理なはず。

それをローザへの復讐心だけでやったのかどうかは不明ですが、ある意味スゴイわ。

悲しいのは始めの2件の事件

これって母親は悪くないんですよね。

虐待に薄々気が付きながら何もしなかったこともゲンツにしてみれば罪なのでしょうが、特に1件目については異変に気付いた時点で医者に連れて行ってるし、パートナーが怪しいとなった時点で鍵を変えてますからね。(このパートナーは始めから自閉症の息子にいたずらする目的でシンママに近づいたのでしょう。)

息子を必死に守ろうとしていたのに、あの仕打ちは気の毒すぎます。

毎日公園で遊んでくれた優しい母を失った少年のことを想うとやりきれない。



ちなみに、この男の子が地下室で性的虐待を受けている映像を見つけた時にはゲンツは部屋から出て行ってるんです。

(出典:Netflix)

自分の辛い過去もあり、とても目にできなかったのかな・・。

この時の怒りの様子も軽い伏線になってたのかも。



2件目の事件にしても、母は家を出ることを決めていたのであのまま何もされなければ娘達は母と新しい人生をスタートできていたのに。

ゲンツ、やったことがズレまくってるのに分かってるのかな。

とはいえ、ゲンツ曰く「子供の幸せを確保するのが母親の役割」ということなので、その確認義務を怠っていたのは母親失格ということらしいです。

3件目の事件だけは、本当に虐待していた母のようでした。ただこれも、男を漁りまくってるくらいしか説明されてなかったので、実際どんな虐待があったかは分からないですが・・。

チェスナットマンの意味

なんでチェスナットマンなの?

そして、なんで手足を切断するの?(チェスナットマンに外見を近づけるため?)

ローザと一緒に作ったので、それがローザへのメッセージになると考えたのは分かるけど、なぜそこまでチェスナットマンにこだわるのか、そもそもそれが何を意味するのかが始めはよく分かりませんでした。

でも、ローザの家に置かれたのが、手を繋いだ5人のファミリーになっていたのでチェスナットマンが「幸せな家族の象徴」なのかな~と。(子供時代のローザ達が作ってた時にも「大家族を作ろう」と言っている。)

ローザが嘘をつかなければ続いていたはずの5人家族ということでしょう。

実際ローザはこれを見て全てを理解しましたからね。

クリスティンは・・。

生きてた~・・。

よかったよ~!!!

なにしろ欧州物の場合は普通に鬱結末ありますからね。子供の誘拐もので、最後まで見つからないなんて実際ありましたから。

なので、最後は大臣夫妻と一緒にドッキドキ。

クリスティンの姿が見えたときには本当に嬉しかった~。

妹のアストリッドにしても、自分たちが虐待で苦しんだからこそ、子供には手を出さずにしっかり面倒をみていたんでしょうね。

ヘスのキャラが良かったね

最後にクリスティンが見つかって家族で感動の再会を果たした時のヘスの表情が寂しかったですね。

自分には起きることのない「奇跡の再会」を見つめ、失った家族をまた痛烈に感じていたのでしょう。


でも、ヘスとトゥーリンが今後が家族になっていきそうでしたね!

ヘスは売ろうとしていたアパートを手放さずにいることに決めたようだったし、ブカレストでの仕事が終わったらまた戻ってくるんでしょうね。

なにより、前の彼氏が加わることができなかったリーちゃんお手製のファミリーツリーにしっかり入ってたし、驚くことにトゥーリンが化粧してましたからね!!

恋する女の顔!

体にもベタベタ触ってたし(分かりやすいわ。)2人の未来は明るそう。

トゥーリンもサイバー部門に移動できたし、リーちゃんとの時間も恋する時間も確保できそうですね。



あと全然関係ないんですけど、義父(実際には全然血が繋がってないらしいけど)のアクセルの声が「ダーク」のアダムの声にそっくりで、毎回アダムの顔が頭に浮かんでしまいました・・。

デンマーク語とドイツ語って似てるしね。

ラストのあの男は?シーズン2に続くの?

最後にリヌス・ベッカーが解放されたことからシーズン2に続くのでは・・?と囁かれてる部分もありましたが、これはどうもなさそうですね。

無理やり頑張ればトゥーリンとヘスの黄金コンビを再結成させて、別の事件に当たる・・という展開もできそうですが、あの男が何かを企み別事件を起こす・・というのは考えられないかな~と。

だって、ゲンツに入れ知恵されて下手したら一生刑務所で過ごすような事態もあったわけですよね?

そんな馬鹿な真似をするような男が、緻密な計画にのっとった犯行を起こせるとも思えないので・・。

とはいえ、憧れのゲンツのような猟奇犯罪のコピーキャットになり、世の悪い母親に鉄拳を下すという使命を担う可能性はあないとはいえない??

でも失敗しそうだし、そしてすぐ捕まりそうだわ。



というわけで、こんなところでしょうか。

Netflixの北欧ドラマの正解版ですね!

隙のないスリリングな展開には大満足でした!

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