Netflixの海外ドラマ「アンビリーバブル たった一つの真実」を最終回(8話)まで見たアニスの感想です。(ネタバレ無)
予告編を見た時から、今月の穴場的一押しドラマは絶対これだ!と狙いを付けてましたけど、その通りやってくれましたよ~!
「チェルノブイリ」や「ハンドメイズ」が面白いのは始めから分かってますけど、こういう小規模作品がクリーンヒットを飛ばしてくれると嬉しいんですよね。
ピューリッツァー受賞記事の衝撃実話に基づいていて、さらにこの女優陣ですからね。
現在3700件のレビューが付いたところでIMDbのレートは8.7!!
そして、Rotten Tomatoesの批評家は94%です!
面白かった~!久しぶりの一気見でしたよ!
全8話のリミテッドシリーズということで見やすいし、山場の設定やドラマの流れなども完璧に計算された無駄のない構成でした。
【追記】ゴールデン・グローブ賞にて作品賞、女優陣3名が全員女優賞でノミネートされました!
【ご留意ください】
当ブログは個人が趣味で書いているもので、夜遅くにウトウトしながら感じたままの感想を綴っています。そのため稚拙な文章、品のない物言い、勘違い解釈、天然ボケなどで皆様をご不快にさせてしまうこともあるかもしれません。(その場合は申し訳ございません。)
その点を含めてお許し頂ける方のみ読み進めて頂けましたら幸いです。
また衝撃ネタバレに関してはそのエピソード分の始めに持ってくることもあるのでご注意ください。(内容を順番に書くわけではありません)
「アンビリーバブル たった一つの真実」予告編とあらすじ
ワシントン州で若い女性が暴行され警察に通報するが、動揺し言動に食い違いが見られる彼女の陳述を警察は疑い始める。
その数年後、遠く離れたコロラドで同じような事件が発生し、カレン・デゥヴァルが捜査に乗り出す。
「アンビリーバブル たった一つの真実」登場人物とキャスト
幼い頃から里親を点々とし成長してきたマリーは自立支援施設に住みながら、現在は仕事をし、自立を目指していた。
そんなある日、性犯罪の被害に遭い警察に通報するが、担当刑事として現れたのはなんとも頼りない中年オヤジ2人組・・。
何度も何度も同じ話を繰り返させられ、挙句の果てには細かい部分で矛盾があると言い出され・・。
絶対に遭遇したくない驚くべき無能刑事たちですが、現実にいそう!!というリアリティが恐ろしい・・。
マリーを演じるのは子役から活躍していたケイトリン・ディーヴァーという女優さん(22歳)。
彼女が素晴らしいですね!!
決して美人ではないのに、透明感があって、親近感が湧くタイプ。
太々しさや幼さも残しつつ、傷つきやすさや脆さも表現でき、なのに芯の強さもしっかり感じさせるという・・。
この若さでマルチだわ~。完璧でした。
「ゴッドレス」でエミー賞を受賞したメリット・ウェヴァーはコロラド州起きたで暴行事件を本気で追う女刑事カレン・デゥヴァルを演じます。
今回も雰囲気たっぷりで、ゴッドレスの時の迫力に近いものがありますね~。
個人的にかなり好きな女優さんです。
同じく本気刑事のグレースも素敵でした。
「シックス・センス」のトニ・コレットは昔から独特の顔立ちがカッコよくて同性に好かれるタイプだなぁ・・と思ってたんですよね。
姉御肌が今回まさにハマってますね。
強引な態度とは裏腹に、繊細な共感能力を持ち合わせる謙虚な女性で、そこがなんとも魅力的。
やっぱり性犯罪の事件はこんなやり手女刑事達にお願いしたいです・・。
その他、被害者として登場する女性達も全員素晴らしい存在感!
性犯罪被害とは本質的に何なのか・・という部分を全身で表現できる人でないと成り立たないドラマですからね。隙のないキャスティングでした。
「アンビリーバブル たった一つの真実」ネタバレ無しの感想
構成が面白い
実はマリーが暴行事件に遭ってからの時系列と、二人の女刑事が必死に犯人捜しをする時系列が3年違ってるんですよね。
私、始めにここに気が付かなくて少し戸惑いました。
場所はワシントン州とコロラド州ということで違うのは分かってたんですけど・・、3年の時差のある状態で、二つの物語が同時進行する形は珍しいかも。
もちろん最後には上手い形で交差していきますが、そこも見どころですね。
何も手がかりがない事件!
ミステリーとして面白いのが、この連続犯が何の証拠も手掛かりも残さず、ほぼ完全犯罪に近い形で移動しながら犯行を続けるという点・・。
顔はマスクで覆われ、手には手袋。証拠は一切残さず、被害者は20分間洗うように指示される・・。
殺人事件ではないので、「何の手掛かりもないのでは・・」とろくな捜査もせずに事件をクローズする刑事も多い中、マリー達は強い意志でこの事件に臨み絶対に諦めることはありません。
一体何が突破口になって犯人逮捕につながるのか・・、は見てのお楽しみ!
その他、事実に基づいているだけあって、刑事たちの実情やDVなどの犯罪にまつわる統計数値、最新のDNA解析技術などの情報が詳細で超リアル。
ジャーナリストが内部事情まで斬り込んで調査したのが窺えます。
あとは彼女達のような本気刑事と堕落刑事とのコントラストも痛快で最高でした。
というわけで、こんなところでしょうか。
派手な展開がある訳でもなく、むしろマリーやカレン、グレース達の心情をじっくりじっくり掘り下げていく手法なんですが、決してスローとは感じさせないのは役者の魅力とテーマの重厚さ、そしてキレのある展開のおかげですね。
こちらも腰を据えてじっくり見たい作品です。
*この先はネタバレ感想です。
「アンビリーバブル たった一つの真実」全話見たネタバレ感想
犯人は意外に・・
逮捕された後のシリアルキラーなどが話す映像をアメリカのドキュメンタリーなどで見ることがありますけど、不思議なほど淡々と軽い口調で話してるんですよね。(まるで他人事のように)
今回の犯人も拍子抜けするほど馬鹿っぽく得意気に話してましたね。
恐らく、実際にもあんな感じだったのでしょう。
なんのこっちゃない、手口は本を見たまんまやってるだけで、当の本人も始めは失敗を重ねながら、徐々にミスのない犯行ができるようになったと話してました。
そんなつまらない男にどれだけの女性が人生を奪われてきたのか・・。
悔しいとしか言えませんけど、気になるのはやっぱりあのパソコンのハードディスクの中身。
あの程度の男がプロでも破れないパスワード設定をしていたってことなの?
まだまだ余罪がありそうですけど、もう327年の刑期があるなら、すべてを明らかにしても良さそうですよね。
いまだに闇に葬られたままの被害者がいると思うと残念です。
そもそも、写真を撮られて「警察に通報したらネットにバラまく」と脅された時点で通報しない被害者の方が多い気がしますしね・・。
それを考えると今回名乗り出た被害女性達は全員がとてつもなく勇敢でした。
女が仕事に邁進するには理解ある夫が大事
カレンの夫は同じく刑事ということで、彼女が抱えるものへの理解が深そうでしたよね。
いいな~、あんな旦那さん。
家事もこなし、子供達の面倒もしっかり見て、カレンと交代するように夜に仕事に行ってる感じでしたよね。
夜勤なのかな・・。
グレースの夫も司法省だかどこだか忘れましたけど、正義感がそのまま原動力になるような世界で働いてる様子でしたよね。
やっぱり理解あるデキる夫がいないと、デキるキャリアウーマンもあり得ないということですね。
そんな男性達がいる一方で、あの無能刑事のオヤジ2人は酷かったわ~。
メインの刑事がグレースを訪れて、「自分がそんなダメ刑事だとは・・。辞職すべきなのは自分なのかもしれない。」って言ってましたけど、私がグレースなら、「そうですね。おっしゃる通り!」って言ってますね。
「でも、何も手がかりがなかったんだ。」と言い訳されたら「それはこちらも同じですよ!だからこそ死力を尽くすんです!」とキレますね。
それを、何も言わずにいてあげるグレース・・。デキる女だわ。
でも、あのオヤジも反省してましたからね。
マリーが謝罪を求めにやって来たところで、しっかり謝罪の言葉が出ただけでもヨシとしましょうか。
っていうか、後ろに立ってたオヤジ2号も謝罪しろ~!
マリーは・・
あれだけの悲劇に2度も見舞われ、友達も彼氏も全て失い、里親さえ彼女を信用していない様子でしたからね。
それでも自死を踏み留まり、仕事を見つけ、淡々と日々を乗り切っていく力があったのは、彼女が子供の頃から身につけざるを得なかったサバイバル術のおかげでしょうか。
与えられる物で満足して、とりあえず前に進む。
ない物や失った物を嘆いていても仕方ないと・・。
余談ですけど、2年間彼女の里親だったジュディスの女優さんは「ホームランド」の大統領をやってたエリザベス・マーヴェルでしたね。
独善的で偏狭な中年女を絶妙に演じていて、今回もしっかりムカつきましたよ。さすが。
見ていて気の毒でしかないマリーでしたけど、最後、遠い場所で彼女を救った2人の女刑事の存在がまさに救いになりました。
それこそ、15万ドル以上の価値があったでしょう!
結局一度も顔を合わせることがなかったカレンとマリーが、こんな形で互いを知り、互いの存在がこの世界で生きることの希望に繋がっていく・・というのがまた素敵。
男性をないがしろにするわけではありませんが、確かに存在しますよね。地球規模の目に見えない女性同盟は・・。
勇気を出して警察に通報することを選んだ女性達の共通の願いは「他の女性がまた被害を受ける前に!」だったし、もちろんカレン、グレース達の想いは言うに及ばず・・。
いずれにしても、刑事という仕事は被害者の苦しみを真に理解し、心を寄せ、献身し尽くす覚悟がないと満足な結果を出せない職業なのかもしれませんね。
そんな本気刑事さん達に、今一度感謝したくなるドラマでした。