はぁ~、面白かった~!
でもって、最後は結構泣いちゃったわ・・。
実はおとといから風邪をひき、最低限の家事と子育てをしたらベッドの中でゴロゴロ過ごす・・という極楽な日々を過ごしてました。
とはいえ体調が悪いので疲れてて頭は使いたくない。
気軽に見れるのがいいな~と、かなり適当に選んだのがU-NEXTで見れる「11.22.63」でしたが、これが正解でした!!
2016年製作のHuluオリジナルのミニシリーズで全9話。
スティーブン・キング原作のJ・J・エイブラムス製作のタイムスリップものですが、ケネディ暗殺を阻止できるか?というのがお題目。

まず設定から面白くて第1話で釘付けになります。
え?ケネディの暗殺とか面倒くさいわ。どうせCIAやらFBIやらソ連の陰謀やら複雑な諸説を展開するんでしょ?
と思うところですが、これが思いのほかシンプルで面倒くさくない。
作りもHBOほど重くないし、ケネディ以外の悲劇的事件も扱うので飽きさせないし、なにより見始めちゃった以上、過去は本当に変えられるのか?が気になって最後までやめられない!
適度なスリラー性と、キング原作っぽいホラー描写もありつつ、気が付いたら時を超えたロマンスまでガッチリ楽しめちゃうという。
最近のコロナ禍で面白い新作が来ないよ~とお困りの方にはちょっとお勧めしたいです。
IMDb1は8.2でトマトはこんな感じ。

傑作とは言えないかもですが、気楽に楽しめる上質なエンタメは結構貴重で有難いし、見つけると得した気分になりますね。
「11.22.63」予告編とあらすじ
U-NEXTのがなかったので、レンタル用のをお借りしてます。
高校教師・ジェイクは、ダイナーの主人・アルから店の奥にある扉“ウサギの穴”から1960年にタイムスリップできると打ち明けられる。アルはジェイクにその扉を通って過去へ行き、1963年11月22日に起こるケネディ暗殺を阻止してほしいと依頼するが…。
U-NEXTより
「11.22.63」登場人物とキャスト
5年前のドラマですが、キャストが比較的豪華で、ちょっとした脇役まで有名な俳優さんがスタンバってましたよ。
やっぱりスティーブン・キングxJ・J・エイブラムスだと出演する側としても安心でしょうからね。
今回はメインのお二人だけご紹介。

国語教師のジェイク役にはジェームズ・フランコ
笑った時の目が最高に可愛いんですよね~。いつもどこの血が入ってるかな、名前の雰囲気からしてイタリア系かな・・なんて思ってましたが全然違いました。
カリフォルニア州出身ですが、お父さんがポルトガルとスウェーデン系、お母さんがロシア出身のユダヤ系と国際色豊か。
このドラマは製作にも関わってるみたいです。この時38歳ですけど、多才だな~。

運命の女性セイディを演じるのは今を時めくサラ・ガドン。
サラ・ガドンといえば、「世界で最も美しい顔」4位に選ばれたこの美貌でしょう!
この翌年に主演し彼女の出世作となったNetflixの「またの名をグレイス」でも堪能できますが、こっちの役柄の方が光り輝いてました。
ジェームズ・フランコもよかったですけど、このドラマを何倍も魅力的にしてるのは彼女の存在ですね。知性に裏打ちされた品格もアリ。
「またの名をグレイス」でサラファンになった方は必見だと思います。

「11.22.63」の設定を簡単にご説明+ネタバレ無しの感想
このタイムトラベルの設定が絶妙過ぎてさすがスティーブン・キングなんですよ。
あちらのサイトでも「アンダー・ザ・ドーム」のような突飛な設定が面白くて1話目は最高・・とありましたけど、確かによくできてます。
- タイムトラベルはダイナーの倉庫にある穴から(「ウサギの穴」)
- トラベル先はいつも1960年の同じ時間(ケネディ暗殺の3年前)
- 過去を変えようとすると、過去が反撃してきて邪魔をする
- ダイナーに戻ると、過去に何年いても現在の時間軸では出発から2分後になっている
- 過去を変えてきても、もう一度過去に戻ると全部リセットされる
こんな感じ。
この時間を超える穴を発見したダイナーの主人アルがなんとかケネディ暗殺を阻止しようとするんですが、志半ばでガンに倒れ・・。
その遺志を引き継ぐ形でジェイクが過去に赴くわけですが、彼にはアルから引き継いだ資料やら飛び道具やらがあるわけなので、ゼロから挑むよりもかなり有利で勝算もアリ?
その辺はドラマを見てのお楽しみ~・・ってとこなんですが、まずはぜひ第1話を見て頂きたいです。
特筆すべきは1960年のセット(?)のすごさ。

少し前にデヴィット・フィンチャーが「マインドハンター」に関して「とにかく撮影予算がかかって大変だ」と言ってるコメントを読んだんですけど、1970年代の撮影が高くつくなら、このドラマも相当予算かかってるだろうなぁ・・と想像。
クラシックな車が街中走ってるし、ケネディ暗殺の舞台や狙撃犯がいた建物もそのままリアルに見えるし、一体どう用意して撮ったんだろう。
あとは最終話がいいですよ~!
タイムトラベルの醍醐味を一気に凝縮したような濃い~ラストエピソードで、私はかなり好きでした。
サスペンススリラーとして成功したかどうかは少~~し微妙な部分もありますが、タイムトラベルものとしては期待を裏切らない情緒たっぷりなエンディングだったと思います!
「アウトランダー」系の王道ラブ・ストーリーが好きな方にもおすすめしたいです。
*2021年8月31日までの配信なのでお早目に。

次はネタバレ感想です。
「11.22.63」ネタバレ感想

そっか~。こう終わるのね~!
と、涙をダラダラ流して感動してしまいました。
単純だけど、こういうベタな終わり方も好きなのよ~。
最終話は一体どんな膨らまし方をするんだろう~と期待してたんですが、色々ぶっこんでくれて楽しかった~。
ジェイクがオズワルドの代わりに誤認逮捕された時にはどうなることかと思ったし、最悪の鬱結末も覚悟したんですけど、そこはスッと解決されてよかったです。
FBI捜査官にギル・ベローズ(「アリー・マイ・ラブ」「ショーシャンクの空に」)が出てるのが嬉しかった~。

そして、最愛のセイディが撃たれてしまう・・というのもある程度予測がついた結末だったかな。
一緒に来てもいいことないので、絶対家で待ってる方がいいでしょ~!とは思ったけど、そこも含めて2人が出会った場合の運命ってことなんでしょうね。
あ~、これじゃまたセイディを救うために2回目のタイムトラベルに行ってしまう~・・というところで、同じタイムトラベラーのオジサンが「絶対に過去は変えられない。」と教えてくれたのもナイス・タイミングでした。
最後に年老いたセイディに会いに行き、幸せな人生を送ったことを確認し、自分の決断が正しかったことを確認するジェイクもほろ苦くていいわ~。
この老婆セイディにサラ・ガドンの特殊メイクバージョンでなく、別の女優さんを起用したところがいいですよね。
顔が似てるかどうかよりも、生き生きした表情がまさにセイディだったので歳月の重みを感じさせながらも、グッとくるものがありました。
ちなみに、ラストに関してはほぼ原作通りらしいのですが、ジェイクが過去に2回目に戻った時にメーン州で従妹たちを一緒にいるセイディに偶然会う、というくだりはドラマオリジナルだということです。

あれ、ロマンチックでよかったですよね。
製作者が語るには、磁石で引き寄せられるように出会いを繰り返す2人の運命的関係について強調したかったそうですよ。
あのシーンがあってこそ、最後のダンスシーンが際立ちましたしね。
というわけで、期待以上の最終回だったわけですが・・、
ただ感動の傍らで、ちょっとこのドラマの弱い部分も感じた最終回でもあったので、その辺に触れながら振り返ってみたいと思います。
ジェイクが過去を変える動機が足りない
これが始めからずーっと気になってました。
アルはほら、ベトナム戦争に実際に従軍し、仲間を大勢亡くしたというつらい過去があるからこそ「ケネディを救えば仲間たちも生きてるはず!」という思いで命を削りながらタイムトラベルを繰り返してきたわけですよね。
でも、ジェイクって別にそういう想いがあるわけでも、ケネディが生きてたら世の中が今より良かったはずという確認もない状態でふわ~っと行くわけですよ。
実際、地味な車を買えと言われてたのに、派手な黄色い車を買ってた時には「ほら~、やる気ないやんけ~」と思いましたからね。
アルとの関係だって、ただ普段食べてるダイナーのおっちゃんというだけで、彼の遺志を引き継ぎ人生を懸けるほどの仲じゃなかったはず。
それが、離婚したきっかけがあるにせよ、突然危険を冒して大冒険に出るなんて・・。
しかも、アルはそれでガンにかかって死んでるわけですよ?
このリスクを知りながら行くなんて、私なら絶対にありえないですけどね。
戻ってきたら失ってるのは2分だけ・・とはいうものの、年は取るわけでしょ?
35歳で過去に行ったら、戻ってきた時には38歳・・。
これを何度も繰り返してたらあっという間におじいちゃんだし、しかも病気にさせられちゃうなんて絶対嫌~。
最終回でこの不毛なループにジェイクがハマらなかったのもよかったですね。
なぜアルに無理だったことができると思ったの?
あれだけ情熱と人生をかけてケネディ暗殺を阻止しようとしていたアルができなかったことを、ジェイクができるわけないやん・・。
て普通に思うところですが、ジェイクとしては自分ならできるって思うんでしょうかね。
だって、1960年で自分の父親に電話しようとしただけで、車が突っ込んできて、女性が死んでしまうんですよ?
ケネディ暗殺の歴史を変えたら、それこそ何が起こるか想像に難くないわけで・・。
でもまぁ、ドラマとして上手いのはハリー・ダニングの一家を救えた!という手ごたえがジェイクをその気にさせてしまった辺りですよね。
あれができるなら、ケネディも。
というのは少し分かるな~。
原作は暗殺の5年前だったらしい
ドラマでは「ウサギの穴」を通ると1960年ですが、原作の方では1958年だったらしいです。
ということは、ケネディ暗殺まで5年も待たないといけなかったなんて!
うわ~、アルもよく頑張ったわね。何度挑戦したんだろ。
ドラマの方では、この待機時間が長すぎるとテンポが落ちるってことで短くしたんでしょうね。
確かに過去に行ってしまえばしばらく事件はないわけで、暗殺の日が近づくまでは比較的平和な毎日でしたよね。
ドラマ的にも少~しダラけちゃったかな・・。
で、結局ジェイクは何がしたかったんだろ?
ジェイクの内面をもう少し掘り下げてくれたらさらに面白くなったような気がします。
彼の離婚の原因とか、現在の暮らしの何を変えたかったのか・・とか。
ケネディを助けたバージョンの未来が最悪だったというのを知り、ジェイクが何を感じたのか・・とか。
その辺がよく伝わってこなかったので、ジェームズ・フランコの熱演が少しもったい気もしました。
あ、あと、ケネディを助けるとなぜ爆撃が始まるのか・・という説明が適当じゃなかったですか?!
そこが知りたいのに、そこは教えてくれないのね‥って感じで。
だってね、そこってこのサスペンスの核じゃないですか?!
ジェイクにそこまでの信念があったかどうかは置いておいて、少なくともアルはケネディの生きてた世界は素晴らしいものになったはずだ!という確信があったわけですよね。
それが、荒廃した終末世界に変わっていたわけですから、なぜケネディが生きてたことで結果的にこの世界をもたらしたのか・・の説明は最低限必要だったはず!
もちろん、政治的な理由だけで説明がつくものではなく、偶然的な出来事が複合的に起きた結果ってだけかもしれないけど。
でもジェイクがそこを掘り下げてハリーに聞こうともしなかったのも、なんだか不自然で残念でした。
あ、あとセイディが何の偉業で表彰されてたのかも知りたかった!
まぁ、気になった部分を書かせてもらうとそんな感じですかね。
最後はハリーとセイディの運命的ラブ・ストーリーがテーマとして勝った形でしたね。まぁ、それはそれでよかったんですけど。
サスペンス部分や、ジェイクという男のヒューマンドラマとしてももう少し掘り下げてくれたら、さらに精度の高いドラマとして評価を受けたんじゃないかなぁ・・と思う部分もあったりします。
というわけで、ではまた~。

