U-NEXTで見れる海外ドラマ「バリー」アニスの感想です。
*前半はネタバレなしの感想と登場人物紹介。後半はネタバレありの感想になってます。
今年のエミー賞コメディ部門で、主演男優と助演男優を獲って注目されたHBO系の新作「バリー」が早くもアマゾンプライムで見放題になってました。
コメディはあんまり見ない方ですけど、これはかなり期待できそう!ということで、さっそくチェック!
1話30分の全8話なので見やすいし、適度なキレがあってどんどん進めるので衝撃のラストまであっという間でした。
【ご留意ください】
当ブログは個人が趣味で書いているもので、夜遅くにウトウトしながら感じたままの感想を綴っています。そのため稚拙な文章、品のない物言い、勘違い解釈、天然ボケなどで皆様をご不快にさせてしまうこともあるかもしれません。(その場合は申し訳ございません。)
その点を含めてお許し頂ける方のみ読み進めて頂けましたら幸いです。
また衝撃ネタバレに関してはそのエピソード分の始めに持ってくることもあるのでご注意ください。(内容を順番に書くわけではありません)
「バリー」のテーマは意外と深い
あらすじはこんな感じ。
心に闇を抱えた殺し屋が演劇の魅力にとりつかれ、人生の再起を図るブラックコメディ。だが裏社会は彼をほっておいてくれない。
(アマゾンプライムより)
ブラックコメディですけど、笑いのセンスも良く、役者たちがとにかく芸達者。
現実に起こり得る皮肉や、浅はかに生きる人間の悲しい性をおちょくるタッチで物語は進みます。
ただし、笑いを取ったかと思うと時にシリアスで物悲しく、時に残酷で結構リアル。
この緩急の付け方が上手くていいですね~。
バリーにしても、一見世間知らずのイタい奴のように見えて、コロしとなると一流の腕前をサラッと披露しますからね。それも一瞬の迷いもなく。
なのに倫理的な割り切りは子供のように単純で、「悪い奴だからコロしてる」とかなりシンプル。
ところが今回、演劇クラスの仲間に温かく迎えられ、昔の海軍時代の友人に出会ったりしたことで少しずつ 彼の中にも相矛盾する道義的な問題に疑問を持ち始めることになります。
それからバリーが初めて演劇を通して仲間を得て、女性に恋をし、自分を認めてもらえる空間に出会ったことで、新しい自分の可能性に目覚めてしまうというのも面白い。
突然これまでの人生をチャラにしようとする、その無理な葛藤も見ごたえあります。
コメディに関しては私はそんなに大笑いするほどじゃなかったんですけど、始めから「これはただのコメディじゃないよ」的な含みがあちこちにあるので、それに期待する部分も大きかったですね。
結果的に盛り込んであったテーマは普通に私たちにも通ずるもので、「己を知り、生き方を見つけ、居場所を確保する。」という感じでしょうか。
これをコロし屋として結構な年齢まで来てしまった男が一から始めるという・・、
その健気な姿に笑ったり、同情したりするドラマです。
「バリー」登場人物とキャスト
子供のように純粋で未熟なメンタリティを持つ殺し屋バリー。
叔父に利用されてることに気が付かない。
ところが、ある日ふと迷い込んだ演劇クラスで新たな可能性を見つけてしまう。
新しい自分が新しい人生を始めるという、夢のような将来への可能性・・。
演じるのは原案・製作にも携わるビル・ヘイダー。サタデー・ナイト・ライブに出ていたコメディアンの方みたいです。
ヒットマンとしての側面と、純粋に将来を夢見る無防備な男との二面性を絶妙に演じてる感じです。
演劇教師のクジノー役、ヘンリー・ウィンクラーは助演男優を受賞。
もう安定感あり過ぎでしょ~!
若い頃から笑いの取り方が全く変わってないんですけど、すっとぼけてるのか真面目なのかわからないあの感じはまさに鉄板ですね。大体顔がズルいわ。
演劇クラスのマドンナ的存在で、バリーが一目ぼれしてしまうサリー。
結構大根なのに、妙に自分に自信があるタイプ。普段はとにかく早口でコメディ向き。
このサラ・ゴールドバーグは初めてみた女優さんなんですけど、誰かに似てる!とずっと気になってたんですよね。
若い頃のパトリシア・アークエットかなぁ・・。自信ないけど・・。
刑事モス。
鈍いのか鋭いのかわからない捜査能力で、演劇クラスを追い詰める・・。
私、この方の笑いにはかなりツボにはまりました。やっぱり芸達者だわぁ・・。
こんなところでしょうか・・。
その他、バリーが巻き込まれていく暴力団のメンツも最高ですね。
適度にボケていて見ていて疲れないほどのキャラ達になってます。
必要以上にベタでコテコテのギャングタイプだと、見ててすぐ飽きちゃうし疲れちゃうんですけど、その辺が割とオリジナルに愛嬌のある味付けになってるのが素敵です。
二つの暴力団抗争にしても、最後面白いオチがあったりして結構工夫してますしね。
という訳で、気軽に見れて意外に面白い「バリー」でした~。
*この後はネタバレありの感想です。
「バリー」のネタバレ感想
バリーが見つけた居場所
アマゾンには「心に闇を抱えた殺し屋が演劇の魅力にとりつかれ・・」とありましたけど、バリーって演劇自体にはあんまり興味ない感じですよね。
ただ、あの演劇クラスという場所、特に自分を仲間として受け入れてくれた劇団員たちや、「独白がいいね~!」と自分を一瞬でも評価してくれたクジノーらといることが心地よかったんですよね。
人に認められ、受け入れられることの喜びを知ってしまったことで、「これだ!これが自分のしたいものだ!」と勘違いしちゃうんですけど、その後にしても、演じること自体に熱くなる様子はなかったですもんね。
一目ぼれしちゃったサリー目的な部分も大きかったしね。
でも、どんな人間でもあんな風に仲間として温かく迎えられたら、それがなんであれ頑張っちゃいますよね。
殺し屋として窮地に陥り逃亡しないといけないっていう時でさえ、普通に戻って舞台にでてましたからね。
その辺の優先順位が普通と違うのがバリーの魅力ですけど、そんな彼も最後は自分の世界を守り切るために友人のクリスをコロしちゃいましたね。
ついに最後の一線を越えてしまった訳ですけど、逆に舞台で評価され、サリーともよりを戻すという皮肉な結果になってましたね。
ただ、今後バリーはどれほどの十字架を背負っていくことになるんでしょうか・・。
最後、〇〇はどうなった?
まぁ、でも最後の方はサリーと幸せカップルになってましたし、あんまり悩んでる風もなかったですけどね・・。
足を洗って自分としてはリセットした気になってたんでしょうか・・。
(子供みたいに結構簡単に忘れちゃうのかも)
ところがひょんなことから、モスに自分の正体がバレてしまう!
コロしたくない!
だけど、ようやく掴んだこの幸せな生活を奪われるのは絶対に嫌だ!
ということで、たぶんモスを始末したんでしょうね・・。
あーあ、残念。
クジノーとはマゾ&サドのいい関係だったのに、もう見れなくなっちゃうのか・・。
クジノーが「僕は47歳」って大分サバ読んでましたけど(74だろ)、素敵な中年カップルでしたよね。
にしても、モスの遺体はどうしたんだろ?
湖に沈めたりして隠したのかな・・。だってもうあんな場所に他の殺し屋が来ることはないでしょうから、他の誰かにやられたって見せかける訳にはいかないでしょうしね。
その辺はシーズン2で明らかになっていくんでしょうかね。
(シーズン2への更新は決定済み)
今後もバリーの葛藤が続きそうですね。
で、葛藤しながらもなんだかんだ上手いこと行って、自然と道が開けて行っちゃうんだろうなぁ・・。
まぁまぁ面白いけど、何かが物足りない
なんでしょうかね・・。
もう一つ興奮するような何かが足りないのかなぁ・・。
上手いのはクジノーが金儲け的な側面も匂わせつつ、割としっかり指導していたり、鋭く真理を突いた指摘をしてたりする部分ですよね。
モスにしても結構鋭い直感があったりして、ボケボケキャラ達の中にもマトモな人間が2人いて、そこがこのドラマを骨太にしていましたよね。
だけど、バリー自身に何かが足りない・・。
例えば「ブレイキング・バッド」も人生再生の物語ですけど、あちらには圧倒的なワクワク感と興奮がありましたよね。
主役のウォルターが本当の自分を発見し、己の欲望のままに自由に生きると決めた時に、物凄い英知と根性を使って危険な挑戦を始めます。
麻薬を作って大金を得たり、麻薬カルテルを向こうに回して張り合ったり・・。
あの我武者羅な生き様がなんとも痛快でしたよね~。
それに関して言えば、バリーがなりたいのは「ただの平凡な男」。
家庭を持ち、幸せな夫、幸せな父親になりたいという・・ありきたりな夢。
それを痛切に求めるバリーの切なさも分かるんですけど、観客側からするとちょっと物足りなかったかな。
これを演劇なら演劇で、何かに一心に打ち込んで手ごたえを感じるようなサクセスストーリーに変えてくれたらもっと面白かったのかも。
ただそうするとちょっとテーマが変わるし、皮肉めいたトーンも薄くなっちゃうだろうけど・・。
それに、単純で素朴なバリーが名優になれるとも思えないしなぁ・・。
でもまぁ、アメリカでの評価も高いし、コメディとしての枠の中に随分いろんな挑戦がされてましたよね。
またシーズン2も期待したいです!