「グレイハウンド」をAppleTV+で見ました。
凄くないですか?
コロナの影響で劇場公開を見合わせていた「グレイハウンド」ですが、AppleTV+による世界同時配信が先行することになりました!
凄くないですか?!
というより、映画業界大丈夫なんでしょうか・・。
いや、少し前から日本の海ドラ業界の脅威となっていくのはこのAppleTVなのでは・・と密かに思っていたのですが、映画界にとっても危険な存在になったりして。
だって、驚きなのがAppleTV+に加入していれば有料課金なしですよ?!
てっきりU-next方式で追加料金がかかるのかと思ってたら、まさかの見放題コンテンツ!
AppleTV+は月900円でサブスクできますが、初回1週間はトライアル期間なので、この映画を見たい人はなんと無料で見られちゃうことに!(1週間以内に解約すれば課金なし)
すごい時代になったものです。
ちなみに主演と脚本を務めたトム・ハンクスはこの配信について、
「Appleのお偉方を怒らせるつもりはないが、ひどく悲しい。画質と音質に違いがあるからね。」
と語っています。
10年前から脚本などに取り組んできたとのことで、思い入れの相当ある映画になってるみたいです。
ちなみにAppleは多々あるVODサービスを抑え、7,000万ドルの額で配信件を落札したそうですが、日本にいてもその恩恵に預かれるなんてラッキーとしか言いようがないですね!
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【ご留意ください】
当ブログは個人が趣味で書いているもので、夜遅くにウトウトしながら感じたままの感想を綴っています。そのため稚拙な文章、品のない物言い、勘違い解釈、天然ボケなどで皆様をご不快にさせてしまうこともあるかもしれません。(その場合は申し訳ございません。)
その点を含めてお許し頂ける方のみ読み進めて頂けましたら幸いです。
また衝撃ネタバレに関してはそのエピソード分の始めに持ってくることもあるのでご注意ください。(内容を順番に書くわけではありません)
「グレイハウンド」予告編とあらすじ
ヨーロッパの前線にいる連合軍に救援物資と数千の兵士を届ける為、37艘の輸送船を護衛する駆逐戦グレイハウンド。その艦長として重い任務に就いたクラウスの壮絶な数日間を描く。
「グレイハウンド」登場人物とキャスト
クラウス艦長を演じるトム・ハンクスは今回脚本も手掛けてます。抑え気味の演技で普通の男に徹しました。
クラウスの片腕コール少佐を演じるのはイギリス俳優、スティーヴン・グレアム。
いい俳優さんですよね~。この方のおかげで映画が肉厚になりました。円熟の技術者。
最近だと「ライン・オブ・デゥーティー」「アイリッシュマン」に出てました。
クラウスの恋人役に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のエリザベス・シュー。
去年「ザ・ボーイズ」で復活しましたが、まだまだ綺麗ですね。(今年56歳!)
Uボートの給仕、クリーブランド役にRob Morgan。
この方、「ストレンジャー・シングズ」の警官役をはじめ海ドラに一杯出てるんですが、あんまり記憶に残ってない・・。
あとチラッとですけど、海ドラ関連で言えば「13の理由」のカメラ小僧タイラーを演じたDevin Druidも出てました。
「グレイハウンド」ネタバレなしの感想、評価
この映画は約1時間半ですが、こうした大作にしては短いですよね。
あっという間に釘付けにされ、あっという間に終わっちゃいました。
このあたりに脚本を手掛けたトム・ハンクスのこだわりがあるのかな?
余分なぜい肉を削ぎまくった「潔さ」は感じました。
私はかなり楽しませてもらったのですが、評価はそんなに高くないみたいです。
IMDbは今日の時点で3400レートついて7.3。
ロッテン・トマトの方もまぁまぁです。
面白いのが、全編を通してトム・ハンクス演じる指揮官クラウスの主観で描かれる点で、他の登場人物に視点が映ることがほぼないんです。
しかもクラウスの表情は地味で、変化が乏しい上に無駄なセリフもなし。(それでもトム・ハンクスは多くを語るのですが・・)
軽口を叩くこともなく、真面目で善良で信仰心の篤い指揮官というのがまっすぐ伝わってきます。
それに、下士官たちの名前を時々間違えちゃう辺りを見ても、たぶん普段は平凡なおっちゃんなのでしょう。
この第二次世界大戦時、たまたま優秀なので海軍の指揮官として任された任務中に、運悪くとんでもない試練に遭遇したという感じ?
その決死の5日間をひたすら追う形になりますが、ドキュメンタリーな雰囲気はちょっと「ダンケルク」に似てるのかな。
畳みかけるようなアクションの連続なので、静けさはありませんが・・。
それと、最低限の状況説明だけして、すぐ戦闘が始まるところもいいですね~。
ストーリーも超シンプルで力強い!
このシンプルさをどう見るか・・でしょうが、確かに「ダンケルク」を見終わった後に残る余韻や情緒は少なかったかな。
あくまで「ある平凡な男が対峙した怒涛の数日間の切り取り」に終始した形で、それ以上の広がりは少なかった印象です。
にしても、やっぱり劇場で観たかったですね。
これはトム・ハンクスの言う通り、映画館で迫力ある映像や音声を楽しむ作品だと思います。
いい意味での古典的でシンプル。でもド派手なハリウッド映画でした!
*これ以降はネタバレ感想になりますが、元歴史教師で歴史・軍事オタクの仏人夫に解説してもらった内容をメインに書いていきたいと思います!
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「グレイハウンド」ネタバレ有の感想・解説・考察
なぜ戦闘機は護衛できない?
これは旦那の戦争ゲームからの画像なんですが、白いラインがカナダからイギリスへの輸送ルートになるそうです。
今回はたぶんアメリカから出航してそうなのですが、アメリカ→イギリスルートはこの地図には載ってないらしいのでスミマセン。(1939年時のもの)
第二次世界大戦が始まってすぐ、連合軍はアイスランドとグリーンランドを占領して港に基地を作ったそうなのですが、それはこの輸送ルートを上空から守る為。
とはいえ、カナダ、グリーンランド、アイスランド、イギリスのどこから飛んでも燃料が足りずにカバーできない海域が真ん中に残るので、そこを駆逐艦だけで守り切るのが今回描かれた超危険な50時間になるわけです。
1940年には航路を増やして、さらにグリーンランドとアイスランドに寄る形になってますが、それでも守り切れない海域は残るそう。
当然ドイツのUボートもここを狙いに来るのですが、嫌ですね~。
駆逐艦に乗って戦うのも嫌だけど、武器もない大型の輸送船に乗るのだけは絶対勘弁!
大きな船体では、Uボートに狙われても逃げられないし、せいぜいできるのはジグザグ運航だけ?
37隻の輸送船に対し、駆逐艦が4隻というのは少ないのでは?と旦那に聞くと、あちこちのルートに輸送船を出しまくってるので、駆逐艦の数はかなり限られていたそうです。
少し余談ですが、この大戦で日本兵の多くが(6割強)太平洋の島々で餓死で亡くなったというのは皆さんご存じだと思いますが、その原因がこうして補給船を沈められてしまったことらしいのです。
劇中でもドイツ側の新たな戦略として、囮になる小道具が打ち出されてましたけど、こうしたテクノロジー合戦に日本が付いていけなかったのが要因だとか。(レーダー技術もなかった。)
特に弱かったのは暗号に関して。
開戦後すぐに暗号を破られてしまったので、日本側の運航情報などは筒抜け状態に。
また、連合軍の潜水艦の数が圧倒的に多かったそうで、ドイツの潜水艦を上回る数で次々に日本の輸送船を攻撃し沈めていったのだとか。
あと、当時の潜水艦てあんまり深く潜れないので(今もそうらしいけど)、航空機からは比較的簡単に見つけられるらしいですね。上から見えるそうです。
なので、上空からの援護さえあれば安全なんですね。
ドイツの描き方はどうなのよ?
もう、びっくりしたわ~。突然艦内にサイコパスの声が響いた時は!
あれはあんまりじゃないですか?
うちの旦那も笑ってましたけど、実際にはあり得ないと思いますよ。
ドイツ兵だって全員がナチスという訳ではないし、クラウスと同じように国の為にやむを得ず戦っていた普通の人も多かったはず。
それが、まぁ見事な悪魔的演出でしたね。
それに、旦那曰く、Uボートに描かれてた狼の絵も怪しいとのこと。
確かにナチスは「狼」を好んだようですが、普通は数字が書かれてるくらいで、あんな派手な絵はなかったのでは・・と言ってました。
これも海賊かって・・。
また映画ならではで言えば、浮上したUボートと護送戦があんなに接近してすれ違うように撃ち合うなんていうのも、実際にはなかっただろうと。
それから、潜水艦なのだからその利を生かして、ずっと潜ったまま魚雷を撃ちまくるのがいいのでは?
という質問に対しては、魚雷をそんなに搭載できない事情があるそうです。
なにしろ狭い潜水艦なので、乗組員たちの寝床のすぐ下に格納されていたらしいのですが、多くても10個ほどだっただろうと。
なので、チャンスがあれば海上に出て攻撃することになるんですね。
グレイハウンドの方も落雷が尽きちゃってましたけど、その辺を使わせていく駆け引きも面白かったです。
それからああした状況で生き残るにはとにかく艦内のチームワークが重要になってくるらしいのですが、その辺も強調して描かれていたと思います。
緊迫の場面で、細かなデータが口移しに伝えられていく臨場感が最高でした。
率直な感想は・・
う~ん。もうひと盛り上がり欲しかった?
アクション的にはあれ以上盛り上がれないと思うので、感情面でもう少し掘り下げたり、カタルシスを感じさせる演出を盛り込んでほしかったかも。
ただ、うちの旦那も言ってましたけど、戦争ってある意味単純な物なので、そういう部分で現実的に描かれてたし、戦闘描写の質は高かったのでは・・とのこと。
このクラウスの内面をどう見るかは個人の裁量に委ねられる形ですが、きっとあれ以上も以下もない、あのままなんでしょうね。
将来、この経験を英雄的な美談として語ることもなく、自分を誇ることもなく・・。
ただ、失われた人命に思いを馳せて、祈り続けるのでしょうね。(食事の前は特に)
そうそう、食事が全然とれてなかったのが気になった~!
祈りだけ毎回ちゃんとしてましたけど、一口でいいから最後食べる姿を見たかった!!
コーヒーだけじゃ不眠不休の戦闘で体力が持たないでしょうし、亡くなったクリーブランドの為にも食べて欲しかった!
結局クラウスはアドレナリンと責任感だけで突っ走り、最後はボロボロになってましたね。
振り返ってみれば、ヘルメットを取るのを忘れてたり、コーヒーをひっくり返したり、いっぱいいっぱいにテンパってましたよね。
でも全力を尽くしてやり切りました。
それにしても、なぜ足が血だらけだったんでしょ。
靴擦れじゃあそこまで出血しないでしょうから、どこかで怪我をしたのかな。
なんとなくどうやってクライマックスを迎えるんだろ・・というところで数千の兵士がグレイハウンドの活躍を称え、感謝する、というシーンが用意されてましたね。
う~ん!これぞアメリカン!
まぁ、そんな感じでとりあえず1時間半は楽しませてもらいました。
AppleTVありがと~!
名作映画「U・ボート」は必見らしい!
旦那がこれを見ろ!とうるさいんですけど、アカデミー賞6部門ノミネートのドイツ映画。
Youtubeで字幕付きで見れます。
かなりリアルにこだわってU・ボート側の戦争を描いてるらしいですが、旦那曰く「傑作」だそう。
見ての通り、U・ボートに中でのドイツ兵には制服はなく、皆私服、髭もOK。
今回の映画で見た規律の厳しい組織とは正反対ですね。
U・ボートの部隊は最も死亡率が高いそうなのですが、第1次世界大戦を生き延びたU・ボート指揮官が決めたルールだそうです。
それにしても、第2次世界大戦時には4万人中3万のUボートの乗組員兵士が死亡したという過酷な世界・・。
興味を持たれた方はぜひ!(閉所恐怖症の私には見るのも辛い・・涙)