Netflix「ホース・ガール」ぶっ飛び映画を徹底解説!感想・評価(ネタバレ有と無)

Netflix「ホース・ガール」
(出典:Netflix)

Netflixの映画「ホース・ガール」のアニスの感想・解説・あらすじです。

冒頭、予告編、キャスト紹介はネタバレなしで、後半はネタバレ全開で解説してます。

夕べこの映画を見終わった時には、あまりに突拍子もないクライマックスに

「なんのこっちゃ?!時間を返せ~!」

と怒りすら感じたわけですが、一夜明けて落ち着いて考えてみると、

正しい見方をすればそれほど悪い映画でない・・と気が付きました。

ただ、正しい見方をここで説明してしまうとネタバレになるし、予告編で意図した部分も無駄になってしまうので控えます。

というか、もうネタバレなしで言えることはあまりないんですが、あるとすれば俳優陣がみんな素晴らしい!ってことですかね。

  • 独創的な映画にも果敢に挑戦したい!
  • 色んな感性を刺激して欲しい
  • どんな結末でも、受け入れるだけの度量の広さに自信あり!
  • ぶっちゃけ時間に余裕がある

こんな方にお勧めです。

目次

【ご留意ください】
当ブログは個人が趣味で書いているもので、夜遅くにウトウトしながら感じたままの感想を綴っています。そのため稚拙な文章、品のない物言い、勘違い解釈、天然ボケなどで皆様をご不快にさせてしまうこともあるかもしれません。(その場合は申し訳ございません。)
その点を含めてお許し頂ける方のみ読み進めて頂けましたら幸いです。

また衝撃ネタバレに関してはそのエピソード分の始めに持ってくることもあるのでご注意ください。(内容を順番に書くわけではありません)

「ホース・ガール」予告編

「ホース・ガール」登場人物とキャスト

孤独な30代女性サラを演じるアリソン・ブリーが本作の脚本を書いてます。(監督との共著)

共感度100%で、前半部分で見せるサラの痛々しいほどに無垢で剥き出しの在り方には視聴者も心を寄せずにはいられないはず。

ところが、後半からが・・。

サラを心配する手芸店の同僚で友人のジョアン。

モリー・シャノンいいですよね~。好き。

昔っからオバサンの印象でずっと変わりませんね・・。今年55歳ですって。

意外なゲスト出演のお二人・・

サラがファンだという超常現象犯罪ドラマ「煉獄」に出てくれるキャストがなぜか超豪華!本編より豪華というのが凝ってますけど、これって実際にはないドラマですよね?

ロビン・タニーは「メンタリスト」でお馴染みだし、

マシュー・グレイ・ギュブラーは「クリミナルマインド」の顔でもあるので、パッと見、こんなドラマもあったっけ?と思っちゃうけど。(ないはずです。)

このダレンはクローンだったりするみたい。

ちなみにマシュー・グレイ・ギュブラーは本編の方にもチラッと出て驚かせてくれます。

ザっとですが、登場人物はこんな感じ。

他には、やけに美人なルームメイトにデビー・ライアン。

サラの夢に出てくる男役で「メシア」のジョン・オーティスが出てたりします。(最近よく見かける)

これから見るという方には、おせっかいながら「肩の力を抜いてゆったりとした気持ちで鑑賞してください。」と言わせて頂きます。

内容的には途中から解釈が難しくなりますが、有無を言わせぬ力強い演技に引き込まれるので1時間44分は結構あっという間でした。

強くお勧めはしませんが、落ち着いて振り返るとそんなに悪くもなかったような気がする映画です。

*この先はネタバレ有の感想です。

「ホース・ガール」ネタバレ感想・徹底解説

はい!

というわけで、宇宙人の誘拐、クローン、タイムトリップ云々とは全く関係のない精神疾患を真正面から捉えた映画でした。

予告編を見た時には、どんな仕掛けがあるんだろ?ナイト・シャラマンも真っ青な新感覚スリラー?!とまで期待してしまったわけですが、まったく違うジャンルでした。

実際のところ、こうしたSF系のトピックは妄想型の統合失調症患者がよく話す内容だそうで、サラの場合は恐らく超常現象犯罪ドラマ「煉獄」を見てる段階から少しずつその世界観に染められていったのだと思います。

母の自死があってから、「このドラマのファンになって救われた。」というセリフがありましたので、クローンやらの世界が心の支えになっていたんでしょうね。

実はアリソン・ブリーご本人が・・

まず、この映画ができた背景を知る必要があると思います。

インタビューを読んで驚いたのですが、アリソン・ブリーご本人の祖母も本編と同じ統合失調症、また母親も重症のうつ病を患っていたらしいのです。(現在、お母さんはお元気だそう)

ブリーはそうした肉親を持つ不安を強く感じながら日々を過ごし、また2018年当時はキャリアの不調にも悩んでいたこともあり、彼女自身も深刻な鬱状態にあったらしいのです。

そこで、その恐怖に向かい合う形で脚本に書き出したのがこの「ホース・ガール」。これを監督のジェフ・ベイナに持ち込み、彼と共に脚本を完成させ映画化に至ったそうです。

ブリーは「自分の心が信じられなくなる恐怖を表現したかった」そうで、なるほど・・、

そうした視点だけでもう一度見ると、確かに恐怖を感じます。

というのも、1度目に見てる時点では、「ん?何かナイト・シャラマン的な仕掛けがあるの?」という視点をどうしても捨てきれないんですよね。

その段階では映画のテーマがわからないし、また分からないような構成を取ってますからね。

しかも、前半で目にするサラという女性がすごく健気で愛らしい。

彼女が抱える孤独は、誰にでも覚えがある類のものだし、多少「ウザい女」な部分は見え隠れしながらも、まぁ、いるよね。私にもそんな部分あるかも・・程度で決して視聴者からの共感を断ち切ることはない・・。

ところが、ダレンとデートして帰りに墓地に寄っちゃった辺りから本格的におかしくなっていきます!

普段からSFミステリーの大ファンで、どんな急展開にも備えのある私でさえ、さすがにこの時点で「あぁ、本当に統合失調症なんだ・・」とようやく気付くに至りました。

同時に背筋がゾクゾクっとする違和感・・。

コントロール不能の主人公を、視聴者共々一体どこへ連れて行く気なの??という興味もありつつ最後まで目が離せないわけですが・・。

最後がねぇ・・。

あれ~!??

宇宙船に連れていかれちゃうってか~!??

というところでパっと終わりました。

これはイカン・・。

イカンですよ・・。

唐突だし、何の説明もなし?!

ふーむ・・。

とはいえ、他にどんな終わり方がありましたかね?

そこを考えた時に、既に彼女は狂気に呑み込まれてしまったわけなので、他にオプションがなかったような気もします。

だって、医者による診断はその前に3日間滞在した病院でされてましたよね。

はっきり医師の見解も述べられていたし、それを聞いたサラは既に聞き耳持たずだったし、同室の患者の発言も自分のいいように解釈していたし、その段階で客観的な答えは出てますからね。

(サラと同室の女性の会話をもう一度聞くと、互いに言葉尻だけ捉えて勝手に解釈し合い、全然噛み合ってないのが分かります。)

悲しいことですが、もうあとは彼女の心が見る世界を幻想的に感性豊かに見せる・・しかなかったのでしょうか。

「ホース・ガール」の意味は

このサラの境遇を振り返る時に、16歳までの裕福な彼女と、それ以降の惨めな彼女とで分けて考える必要がありそうです。

16歳までは、裕福な男性(母の再婚相手)の庇護のもと、贅沢で幸せな少女時代を過ごしました。

大好きな馬に乗るホース・ガールだったサラ。

ところが、その頃から母親の鬱病が悪化し出し、ついに夫は家を出て行きます。

それ以降は馬に乗ることもできず、乗馬クラブに行っては過去に自分が乗っていた馬を勝手に世話し、若い少女たちにはおせっかいなアドバイスを押し付け、経営者の夫婦からは煙たがれてる存在。

だけど、彼女の心は永遠にこの頃のままで、ずっと夢見るホース・ガールのまま。

当時親友だった少女が落馬で障害を負ってしまったことも深い心の傷となっているでしょう。

病気の母との暮らしも決して楽ではなかったはず。経済的にも精神的にも肉体的にも追い詰められ、ついには1年前に母は自死。

一人残されたサラの孤独は深まり、救いは訪れない・・。

SF犯罪ドラマだけが心の慰め・・。

やがて次第に心を病み始め、果てには自分を失っていく。

という映画だったと思います。

感性の鈍い私にはそれ以上の解釈ができませんでしたが、

あの桃色の衣装(お忍び?!)や壁に残った傷、最後に空中浮遊して宇宙船に行くあたりについてはそれぞれ解釈のし甲斐のある部分なのかもしれません。

何か心当たりのある方はぜひコメントでシェアして頂けたら嬉しいです。

ちなみに、ブリーはこの脚本を書き、心の整理をつけたことで鬱からも抜け出す事が出来たそうです。また周囲からのサポートも大きかったとか。

現在はこの映画の演技が高く評価され、キャリア的にも充実。

IMDbの評価は今のところ5.8とかなり低めだし、トマトも同じく低評価ですが、ブリーは分かってくれる人にだけ届けたいと前向きな様子です。

繰り返しますが、そういう意味では悪くない映画でしたよね。精神疾患の恐怖を内側から捉え、大胆に表現した作品としても評価はされそうです。

というわけで、ではまた~!

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