HBO製海外ドラマ「インベスティゲーション」アニスの感想です。前半まではネタバレなしで、ドラマ、キャスト紹介。注意書き以降はネタバレ感想になってます。
HBOドラマの「インベスティゲーション」をようやく見ました。
は~、面白かった~!
デンマークの刑事ものですけど、私ずっとこのドラマって社会派の難しいヤツだと思ってたんですよね。
潜水艦とかジャーナリストとか出てくるし、天下のHBOだし、陰謀絡みの政治的な方面行くのかなぁ・・となぜか勝手に・・。
でも全然違ってました。
2017年に実際に起きた一件の殺人事件を嘘みたいにシンプルな構成で追っていく全6話のミニシリーズ。
緻密な捜査と海にバラバラに捨てられた遺体を捜索する過程を、少~しずつ、少~しずつ見せてくれます。
確かにスローだけど、これが不思議と飽きないんですね~!
なんでだろか?
実際の現場に立ち会っているようなリアリティがあるのはもちろんのこと、
少しずつ露になっていく事件の異様さと相まって、捜査に関わる人々の熱意が静かにビンビン伝わってくるからでしょうか。
というのも、この事件は証明してなんぼだから。
普通に考えて事故なわけないやん。
絶対、犯人コイツでしょ。イケシャーシャ、嘘ついてるでしょ。
目的は絶対それでしょ・・。
絶対そうやって手をかけたでしょ!
と状況的には少しずつ分かってくるんですが、なにしろ始めは遺体さえないところからの真っ白スタート。
一つ一つ物的証拠をかき集めて証明しなければ起訴さえできない!という厳しい状況でして、それがなんとも歯がゆいのです!!
なっかなか見つからない遺体の海洋捜索に関しても、くっそ~!今度こそ~!とこっちの方が熱くなっちゃいますからね。
対して、この主任刑事イェンスさんの無表情がまたいいのよ!
反応の薄さレベルで言ったら、同じ北欧ドラマ「キリング」のあのオバちゃん刑事とメッチャいい勝負してましたからね。
悪いニュースにも良いニュースにも頑なに表情変わらない。
もう、このオイちゃんの表情が変わる時は来るのかね?!
というのにもぜひ注目していただきたいです!
【ご留意ください】
当ブログは個人が趣味で書いているもので、夜遅くにウトウトしながら感じたままの感想を綴っています。そのため稚拙な文章、品のない物言い、勘違い解釈、天然ボケなどで皆様をご不快にさせてしまうこともあるかもしれません。(その場合は申し訳ございません。)
その点を含めてお許し頂ける方のみ読み進めて頂けましたら幸いです。
また衝撃ネタバレに関してはそのエピソード分の始めに持ってくることもあるのでご注意ください。(内容を順番に書くわけではありません)
「インベスティゲーション」予告編とあらすじ
若い女性ジャーナリストを乗せて周遊していた潜水艦が沈没したという連絡が主任刑事イェンスのもとに入った。
所有者は沈没直前に救助されたが、女性ジャーナリストの行方が分からない。
女性に何が起きたのか?
二転三転する被疑者の供述に反証するため、真実を追い求める捜査官たちの戦いが静かに幕を開ける。
「インベスティゲーション」キャストと登場人物
イェンス刑事ご本人のインタビュー動画を見て思ったんですけど、俳優さんがよく似てますよね~。
この方、Søren Mallingは「キリング」と「BELOW THE SURFACE 深層の8日間」にも出ていたようです。(全然記憶ないけど・・。)
無表情の中でも、大きな目で色々物語ってくれました。
担当検事のヤコブ
「ゲーム・オブ・スローンズ」の野蛮な叔父ユーロン・グレイジョイ役で世界中から反感を買ったピルー・アスベックがクールに演じます。
味があり過ぎだわ~。
身長184センチですって。やっぱりガタイいいわね。
被害者の母イングリッド
ペルニラ・アウグストは「スター・ウォーズ エピソード1」でお馴染みですが、私にとってはあ~!あの女優さんだ~!と20年以上前に見た映画の記憶が蘇ってきましたよ。
1992年にカンヌのパルムドールと主演女優を獲った「愛の風景」。
デンマークの映画監督で、この作品の他に「ペレ」でもパルムドールを獲ったビレ・アウグストの奥様でしたね、この方。
あまりにも懐かしすぎたので、動画貼っちゃいます。可愛かったんですよ~。
「インベスティゲーション」ネタバレ無しの感想
ピンと張りつめた湿った空気感が情緒的で美しいですよね。
北欧サスペンス独特の雰囲気ですが、このドラマで特に驚くのが逮捕された容疑者が映像の中に一切登場しない点。
「被疑者」という呼ばれ方はされても名前は一度も呼ばれることなく、顔写真も映ることはなかったです。
触れる価値さえないとばかりに完全無視。
この男を刑務所に長くぶち込むために捜査官たちが情熱をかけて戦うわけですが、この徹底した犯人不在の世界観には製作側のこだわりを感じますね。
被害者のお母さんが最後に語る言葉、「闇に囚われれず、光に目を向けて進みましょう」っていうのに通じるのかな。
「残念なことに、いつの時代にも社会に潜む闇は一定数存在する。
けれど、自分たちは生きることを選ぼうじゃないか。光を信じて進もうじゃないか。」
というメッセージにも思えました。
被害者女性に関しても同様で、名前はあるものの写真などは一切登場せず。
ところがこちらの女性に関しては、やんわり抽象化していくことで「一つの命」としての重みを増してる気がします。
アメリカの批評の中には「彼女が脇に置いて行かれた印象がぬぐえない」というのもありましたけど、私はそんな感じはしませんでしたよ。
むしろ、両親がどれだけ誇りに思って愛してきた娘なのか、どれだけ情熱を傾けてジャーナリズムとしての使命を果たしてきた女性なのかが強く伝わってきた気がします。
まぁ、いずれにしても主役は彼らではなく、捜査に当たった人々と被害女性の両親ですからね。
まるでドキュメンタリーを見てるような淡々とした語り口ですが、事件にかかわる捜査官たちの熱意はこの無表情の下でもうもうとたぎってました!
冷たい海底に毎日潜るダイバー達を中心に、大変な任務を地道に果たそうとする姿勢が見ていて清々しいというか、理屈抜きにジーンとしちゃうんですよね。
ほら、なんとなくですけど、欧州の人たちって仕事に対してドライで、私生活とはキッチリ切り離して残業もしない・・みたいなイメージがなくないですか?
(フランスに住んでましたけど、役所の人が引継ぎもしないで1か月のバカンスに入る・・とか当たり前だったんで。)
でも、この辺のド根性魂は仕事に打ち込みまくる日本人と同じだな~と・・。
結果的に、この一人ひとりの執念が点と点と繋げ、線を作り、少しずつ全体図を見せてくれる形になりました。
それから、被害女性の老いた両親が驚くほど強いのにも感銘を受けます。
捜査主任イェンスとの信頼関係、友情、捜査官たちへの敬意や感謝。
普通だったら、その状況では決して持てないであろう人としての気高さを失わない2人の姿には心を寄せずにはいられないし、これまた涙、涙・・。
残された者にできることを精一杯やり尽くす・・。
その、ひたむきな姿勢に心打たれるヒューマンドラマでした。
全6話で各話40分ちょっとなので尺も短めで見やすいですよ~。
ちなみにIMDbは7.6。
Rottentomatoesはこのようになってます~。
「インベスティゲーション」視聴方法
予告編のとおり27日からスーパードラマTVで放送が始まります。
その他、今現在 アマゾンプライムのチャンネルスターチャンネルEXでも視聴できますよ。
(ただし、スターEXはコンテンツの入れ替わりが激しいのでご注意ください。)
ご注意ください。次は最終話まで見たネタバレ感想です。
「インベスティゲーション」最終話まで見たネタバレ感想
うわ~、最後そう来たか~!
って感じでしたね。
皆さんあのオチ(?)はどうでした??
ラストに大逆転勝利に導く何かを発見するとは思ってましたが、え~、そんなとこ~?・・と正直ちょっと思っちゃいました。
最後の大ネタが弱くないかな?!
だって、胴体が発見されて刺し傷が17か所あったという話が出た時点で、そこが一番大事だろうって思いませんでした?
生前のものなのか、死後のものなのか。
いや、子を持つ親なら、まずそこでしょう。
でも、その部分を曖昧にしたまま進んじゃってたので、きっと長時間海水にさらされていたので傷口からは判別できなかったのだろうと思ってました。
ところが、2か所の傷についてはしっかり「生前か死亡直後」と報告書に書いてあったらしく・・、
「え~、分かってたんかい」って感じでガクっ。どうしてそんな部分を見落としちゃうの~?とちょっと不思議でした。
でも、なにしろ超少人数でやってましたからね~。
実際のところ、犯行の全体図を把握して検証する立場の人って少ないのかしら。
あと、最後のどんでん返し的要素が期待よりも弱くなっちゃうっていうのは、実録物のあるあるパターンな気もします。
ダイバー達の活躍が熱い!
ドラマの中盤は、ほぼ完全に「海にバラまかれた遺体を根性で見つける話」になってましたよね。
海洋学者や、特殊な警察犬まで助っ人に現れて盛り上がったわ~。
にしても、毎日ローテンションしながら寒い海に潜るダイバーが8人って、どんだけデンマークって人材少ないのかしら。
特殊技能が必要なのは分かりますが、もう少し増やしてあげて欲しかったです。
でも、そんな苦境の中だからこそ寡黙に戦う男たちの粘り強さには心打たれましたよね。
無表情キャラが多い中、最後に残された腕が見つかった時の歓喜の叫びには思わずホロリ。
やったわ~!
イェンスさんにも、これくらいのオーバーリアクションが欲しかったけど、やっぱりなかったな~。
返す返すも陰湿な事件だった。でも結末はヨシ
もう最悪じゃないですか・・。
正直、親じゃなくても犯行の詳細は知りたくないですね。
いや、実は彼女が生前アメリカの核実験による海洋汚染について調べていたという話が合った時には「ん?これか?環境問題絡みの陰謀説来るか?」なんて思っちゃったんですけどね。
終わってみれば救いようのない変質者による蛮行でした。
にしても、これほどの悪魔の所業を行える輩が普通に生活し、仲間と仕事をし、時には女性と交際し・・と普通の人間のように装っていたとは末恐ろしい。
犯人の知り合いも何人かでてきましたけど、誰一人として「危険な男だ」とは言ってませんでしたよね。
そんな悪魔のところへタイミング悪く飛び込んでしまった女性ジャーナリスト。非常に暴力的な性的倒錯者の犠牲になり、気の毒としか言いようがない・・。
こんな危険性に気づける人なんていないだろうし、なんともやり切れない事件でした。
それにしてもですね~、
あれだけ状況証拠がありながら、「疑わしきは罰せず」という司法制度ってどうなんでしょ。
第1話の冒頭にチラッと出てきた別事件にしてもそうだけど、状況証拠は山ほどあるし、どう考えても犯人だろう・・!という人間を有罪にできないなんて、捜査官としてはやるせないでしょうね。
今回は遺体をすべて引き上げることができたから犯人を終身刑(デンマークで最も重い刑)にできて良かったですけど、もし最後の腕が見つからなかったら、「手首を切って自死した。遺体が重くて持ち上がらなかったから切断した。」なんて嘘もまかり通る世界って、ちょっと残念過ぎますね。
ジャーナリストの両親のその後
お父さんはイェンスさんがそっと置いて行った航海記録を元にスマホを探しているんですね。
何度も言ってた知り合いのダイバーに頼んでるのかしら。
皆さんご年配に見えるから、そうかも・・。
スマホから今回の事件の真相が分かるとも思えませんが、彼女がこれまでジャーナリストとして得た多くの記録が残ってると言ってましたよね。
恐らく、娘が立派に生きた証として引き上げてあげたいのでしょうね。
お母さんの方は、若い学生さん達に「希望をもって生きることの大事さ」を伝えているようでした。
凄いなぁ。なかなかできることじゃないですよね。
イェンスさんが事件から学んだこと
こちらがイェンスご本人。似てるわ~。
インタビューでも言ってましたけど、事件後しばらくして引退されたそうですね。
生きてる間にやりたいことをし、愛する人たちとの時間を大事にするためらしいです。
劇中、娘さんとの確執が描かれますが、イェンスは相当長い間家庭を顧みない仕事人間だったようですしね。
今回の事件で大事なものに気づかされた形ですが、実際には被害者の両親との関わりが大きかった気がします。
そして、イェンスさんが最後のシーンで孫と対面した時の表情は柔らかかった~。
今後は家族との食事会は最後まで楽しめそうですね。
というわけでこんなところでしょうか。
皆様、仕事もいいけど、家族との時間も大事にしましょうね!
ではまた~!