「ジェイコブを守るため」心理描写が秀逸なサスペンス!真犯人は結局誰?

(出典:Apple TV+)

AppleTV+の海外ドラマ「ジェイコブを守るため」を全話見た感想と、考察です。(途中までネタバレ無し。注意書き以降はネタバレ有で考察してます)

いや~!面白かった!!

エンディングについては賛否両論ですけど、私はかなり面白く見せてもらいました。

あのエンディングも決して悪くないと思います。

やっぱりこういう質の高いサスペンスはいいなぁ・・。

何しろ役者さんたちの演技が素晴らしいのなんのって!

キャストを見た時から分かってましたけど、実際に見てみると各エピソードがあっという間。

すぐに彼らの世界に引きずり込まれ、まるで当事者のような思いで過ごせるのがスゴイのです。

子を持つ親にとっての最悪のシナリオ。背筋が凍るような悪夢を体験できます。

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目次

【ご留意ください】
当ブログは個人が趣味で書いているもので、夜遅くにウトウトしながら感じたままの感想を綴っています。そのため稚拙な文章、品のない物言い、勘違い解釈、天然ボケなどで皆様をご不快にさせてしまうこともあるかもしれません。(その場合は申し訳ございません。)
その点を含めてお許し頂ける方のみ読み進めて頂けましたら幸いです。

また衝撃ネタバレに関してはそのエピソード分の始めに持ってくることもあるのでご注意ください。(内容を順番に書くわけではありません)

「ジェイコブを守るため」予告編とあらすじ

字幕ありませんが・・

息子ジェイコブが通う学校の男子生徒ベンが森で死体となって発見される。

検事補のアンディ・バーバーは事件の調査を始めるが、その服に付着していたのは、なんと息子の指紋だった。

「ジェイコブを守るため」登場人物とキャスト

優秀な検事補で完璧な夫、父アンディ役にはクリス・エヴァンス。

アクション映画が多い印象ですが、こんな影のある複雑な役柄がこなせるんですね~。

過酷な状況化で苦悩する男を完璧に演じ切りました。

ローリー役には海ドラファンにはお馴染みのミシェル・ドカリー。

いい意味での「凡庸さ」を保ちながら普通の母に徹し、共感を誘います。お見事!

凄いのがこのジェイコブを演じた少年なのよ・・。只者じゃないオーラが半端ない!

ジェイデン・マーテル君は今年17歳の子役さんで(細い!)、「IT/イット “それ”が見えたら、終わり」など多数の映画に出演してるプロですね。

この彼が、やったんだか、やってないんだか、怪しいだか、気の毒なんだか・・、とにかく煮え切らない不気味な存在感を醸し出してます。

でも一方で最近の14歳の男の子なんてこんなもんでしょ・・と思わせる無垢さもチラつかせるという・・。うーん、凄いね。

ジェイコブを弁護するジョアンナ役にはベテラン女優チェリー・ジョーンズ。

この人に弁護されたらみんな無罪になっちゃいそう。

言葉の力強さが半端ない!物を売られたら買っちゃうわ。

そしてアカデミー俳優J.K・シモンズも出てました!贅沢~!

心理描写が素晴らしい!ミステリー型サスペンス

まずですね、タイムラインが2つあります。

事件が起きてから裁判に向かうまでのメインストリームでは、もちろんジェイコブが犯人なのか?裁判ではどうなるのか?などが焦点として描かれ、とにかく気になって目が離せない!

もちろん、親として必死に持ちこたえる彼らの苦悩もびんびん伝わってきて恐ろしいし、巻き起こる出来事にもキレがあって、見てるこちらも一喜一憂してしまう・・。

そしてもう一つのタイムラインは、その裁判からしばらく経った時期のもので、アンディが裁判所の聴聞会のような場所で検事の質問に答えている場面。

(出典:Apple TV+)

その表情は青ざめ、憔悴しきっている・・!

一体何があったの?なぜ一人なの?という大きな疑問がここでも湧いてくるのです。

こうしたミステリー要素が上手く機能して面白く見れるのですが、次から次へと疑惑が湧いてくるので、視聴者としてもジェイコブが無罪なのか有罪なのかの見極めが非常に難しい。

そのあたりがまさにアンディ、ローリー夫妻の苦悩に通じる部分として説得力を持たせるのですが、実はこの2人のスタンスは微妙に違っています。

ローリーは自分が産み育てた子を信じたいという気持ちはあるものの、幼い頃から息子の中に凶暴性を見出していた彼女の中で生まれた違和感、不安感がついにここで実を結んでしまうのか?という恐怖に苛まれてる。

一方のアンディは、息子を固くなに信じる気持ちで自分を保ってる。

息子への愛から盲目的に信じているのではなく(それもあるけど)、加えて自分が築き上げた大事な家族は絶対に失わない。という強い信念の元に父親として果たすべき役割を冷静に力強く遂行している感じ。

検事補としての視点も決して失うことなく、最大の危機に見舞われた男として父としてこれ以上はできないと思われる決断をし続けます。

この意志の強さは、恐らくは彼の特殊な境遇から来るもので(それが何かはネタバレになるので伏せますが)、それゆえの反骨精神から培われた強さと忍耐力は驚くほど!

その辺も見どころになってます。

それから、もちろん裁判劇としても最高に面白い!

裁判が行われる第9話のIMDbレートは最高の9.3!

最初から最後までジェットコースター級の展開で、固唾を飲んで見守りましたよ。

ただですねぇ・・。

第10話のエンディングに賛否両論があるようです。

私はむしろ感慨があって素晴らしい出来だと思いましたけど、その辺は人によって違うのと。

この後のネタバレ有の感想では、その辺も含めて徹底検証しますので、ぜひ見てない方は視聴後にまた読んで頂けたら嬉しいです。

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この後はネタバレ感想と考察です。

「ジェイコブを守るため」評価とネタバレ感想と徹底考察

本国評価

実はですね、第7話くらいまでの段階ではIMDbレートはかなり高くて8.5あったんです。

それが、9話で9.3を叩き出したので、お!と思ったんですが、最終話を見た段階でレーティングした人たちに低評価が多かったのか、最終的には現在8.1で落ち着いてます。

ま、全体的に見た時には地味なので8.1くらいかなぁ・・という気もしますが、9話と最終10話についてはどちらも盛り上がっただけにとちょっと残念かな。

そしてロッテン・トマトはこのような感じ。

一般レートはかなり高いのに対し、批評家がイマイチですね。

私はこの一般レートに近いかな。

で、批評家たちの書いてるのを読むと

  • 謎で引っ張っていくタイプのドラマなのに、最後にその答えを明確にしないのはダメ
  • 2時間のストーリーを10時間に引き延ばした
  • 肝心の何かに欠けるメロドラマ

と手厳しいですね。

いい方の意見でもやっぱり最後はフラストレーションの残るものだったとしながらも、演技が素晴らしかったという点については一致してるみたいです。

エンディングについて

一応、事の顛末をまとめます。

パッツが「自分がベンをころした」というメモを残して命を絶ったのは、刑務所の祖父の差し金でした。

彼の依頼で男(神父)がパッツを脅して自白を書かせた後、首を絞めて殺害。そして自死に見せかけておいた。

というわけでした。

ところが、メキシコで起きた事件(ジェイコブと一緒にいた少女が1日行方不明になった後見つかった)が引き金になり、疑心暗鬼になったアンディは妻にその秘密を打ち明けてしまう。

ローリーはこの新事実にショックを受け、改めて息子を疑うように。

追い詰められた結果、車を暴走させるとトンネルの壁に激突し、無理心中のような行動をとってしまった。

アンディがずっと聴聞会で聴かれていたのは、この件について事件性があるかの判断の為でした。

アンディは一貫して妻を守り「事故だった」と主張。それが認められて不起訴となった。

病院では心配していたローリーが待っていた。助かったものの、当日の記憶は消えているらしい。また家族でやり直したいと希望している。

ただ、ジェイコブはいまだ意識が戻らないまま・・。

一人自宅に戻るアンディ。彼が息子の部屋で思うことは何か・・。

という最後でした。

分かるのよ~。

ローリーが追い詰められ、恐怖と戦い、最終的には命を懸けてまでも真実を求めたかった気持ちもよーく分かる!(やり方最悪だけど。)

母として、あのまま息子が成長していく姿をニコニコしながら見てはいけないでしょう。

自身も教育者だし。親の責任や義務感から来る重圧に押し潰されそうになったのも理解できる。

そして、アンディの気持ちもよーく分かる!

幼い頃から切望して止まなかった「普通の家庭」を孤独な努力と反骨精神でついに手に入れたというのに、自分の呪われた血によって息子まで奪われそうになってしまった・・。

絶対にそうはさせない。

何が何でも守ってみせる!

という成熟した男としての強さにも感銘を受けるのですが、その背後には孤独や不安に苦しむ幼い少年の姿がチラチラ見え隠れして切ないんですよね。

(出典:Apple TV+)

最後のこのシーンには涙がにじむ・・

それからですね、私はもうてっきり聴聞会でアンディが問われていたのは父親がパッツにした事が明るみになり、アンディの関与が疑われているのかと思ってました。(皆そうですよね?)

あぁ、その結末は最悪だわぁ・・。

と鬱ラストを覚悟していただけあって、あの嫌味な同僚が「あたなも被害者なのだから。」と言った時には「お~!」と驚きましたよ。

なので、このエンディングにもどんでん返しが用意されていたわけで、私はその部分でしっかりカタルシスを感じることができました。

真犯人は誰?

もうこれは視聴者にゆだねられる形でしたね。

原作の小説の方でもそのようなので、ここは勝手に検証してみたいと思います!

結論から言っちゃうと、私の判決はジェイコブ無罪。パッツ有罪!ですかね。(あくまで個人の意見です。)

だって、もしジェイコブが犯人だとしたら、その3日後にその犯行の様子を闇サイトに投稿しますかね??

確かにあの少年には若干サイコの匂いがしますけど、バカには見えませんでしたよ?

優等生のようだったし、難しい理論の話もしてたし・・。

自分が同級生に手をかけておいて、その武器のナイフも部屋にしまったまま、3日後にその様子を友達も見てるサイトに投稿するっていうのはちょっと考えられないかなと。

むしろ、やってないからこそ、変わり果てたベンを見た記憶を処理する為にあんな形で吐き出した・・。まさか自分が捕まるとは想像してなかったので。と言えるかも。

まぁね~・・。とはいえベンの死体を見た直後に通報もせず、親友に「(ベンは)罰でも当たったんじゃないの?」と冗談を言って笑ってますからね、ジェイコブ君。

ちょっとその辺に、お爺ちゃんから受け継いだ「殺人遺伝子」なるサイコ要素を感じさせるのは事実ですが・・。

あと無罪に見える部分としては、父親や母親から「やったのか?」と聞かれた時にも確信に満ちた顔で「やってない」と断言してるとこ。

裁判前には不安な様子を見せたりと、普通に少年らしさも垣間見せてますので、あそこまで「やってない」としっかり目を見て言えるのは、やっぱりやってないような気がします。

それと、パッツが遺書を残して自死したという報告を受けた時も素直に喜んでましたからね。

「え?なんで?」と驚く様子はなかったし、最後に追い詰められた母に「あなたがやったの?!」と暴走する車中で問い詰められた時にもやっぱりそんな感じじゃなかったので。

さて、一方のパッツですが、こちらは普通にバカだと思います。(犯した犯罪も含め)

なので、警察に呼び出され事情聴取されてから慌てて携帯のベンの写真を消してた部分も「バカ」だから自分が目を付けられるとは思ってなかった。と言えるかもしれません。

写真消す時もどっかの店で用心が足らないし、哀しそう~な顔してましたよね。

(出典:Apple TV+)
(出典:Apple TV+)

この男が実際にベンに目を付けていて、あの公園をうろついていた事実を考えると、ついにベンに接触しようとした結果、激しく揉め、その結果犯行に至ったのかもしれません。

気が弱そうな部分はありますが、逆にこういうタイプは逆上してキレる可能性ありますしね。

特にベンの性格を考えると、普段からジェイコブを「オカマ」と呼んで虐めてるくらいなので、そういう行為に対して人一倍嫌悪感を持ってただろうし、相手を見下した態度で侮蔑的な言葉を浴びせる姿も容易に想像できます。

それに、証人席には現れなかったあの不良少年も「パッツがやった」と確信するほどの経験を実際にしてるとのことなので、パッツの表面的な気の弱そうな態度はこの際無視してもいいのかもしれないです。

それにしても、刑務所の祖父がなぜそんな犯行に及んだのかが妙~に気になりました。

いえ、今回の孫を守る為の件じゃなくて、そもそも昔に若い女性を襲い死に至らしめたというほうね。

それについて何かヒントとなる言動や後悔の言葉などがあると嬉しかったですけど、まぁ、言い訳しないのも潔いかな。

アカデミー俳優がいい仕事してくれたので、ドラマの佳境がグッと盛り上がりましたよね。

「ジェイコブを守るため」の続編はある?

小説の方も続編はないようですし、ドラマも「リミテッドシリーズ」となってるので続編はなさそう。

批評家の中には「あのラストは次のシーズンへ続くためでは?」なんてコメントもありましたけど、そんな風には見えなかったなぁ・・。

あのラストはアンディの深い孤独の闇が強烈に表現されていて、深い余韻を残してくれましたからね。

これ以上に語るものはないと思いました。

というわけで、AppleTV+のオリジナルドラマ。なかなかやるよるなぁ・・という感じです。(「アメージング」ではちょっと(大分)コケたけど)

オリジナル作品の質の高さに関してはHBO、Netflix、Huluあたりと肩を並べていきそうですね。

まだ作品数自体が少ないので、AppleTV+の加入者は少ないと思いますが、私はアリだと思いますよ~!

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 無料期間を利用して見ました。俳優さん豪華でしたね。同年代の息子がおりますので、最初の数話は「ボクらを見る目」と同じ気持ちで、中盤はどっぷり母親目線で、終盤は自分だったらどうする?と問いかけながら。結局犯人探しは本筋ではないのでしょう。もし父親があのナイフを捨てずにいたら白黒はっきりしたんだろうけど…

    • そうそう!わたしも犯人捜しは本筋ではないのだろうと思いました。
      子供って実際に育てていると、あどけなくて可愛らしい部分と、自分の知りえない部分の両方あるのに気が付きますよね。
      時々そっちにぎょっとなることもある訳ですが、それでも良い部分を見つめて信じられるか、理解しえない部分に脅かされてしまうか・・。
      状況にもよるかと思いますが、さすがにローリーの立場になったら自分も信念を持ち続けるのは難しいかも・・

      ナイフ捨てる時に「あ~大事な証拠品を!」とは思いましたけど、実際自分もアンディの立場だったらもう怖くてDNA判定なんて無理~!となりそうです。笑
      でも面白いドラマでした。

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