Huluオリジナル「ノーマル・ピープル」を最終話まで見たアニスの感想です。
前半はネタバレなしの感想と登場人物キャスト紹介。後半はネタバレありであれこれ考察しています。
は~、面白かった~!
アマゾンプライムのSTARZPLAY(現LIONSGATE+)に加入して即効見始め、2日かけて一気見ですよ!
にしても、やたらと長くて濃厚なベッドシーンが多いのにはビビった~。
子供らがウロチョロしてるのを気にして、消したり付けたりしながらなんとか完走。
しっとり文学の香り漂う上質のラブ・ストーリーが最高に素敵でした!!
「ノーマル・ピープル」はアイルランド人の若手作家サリー・ルーニーの同名のベストセラー小説を基にしたHuluオリジナルドラマ(1話30分全12話)。
繊細な若者たちの内面まできっちりエグる脚本はサリー・ルーニー本人が手掛けたもので、激しく揺れ動く2人の心情・行動には一つの矛盾も生みません。
これだけ愛し合う2人がなぜ離れ、なぜ傷つけあうのか・・。
見ていてもね、その理由がよーく分かる。
分かるからこそ手に汗握り応援したくなるのですが、当然2人の歯車はそうは簡単に噛み合ってくれないのです!
まるでサスペンスを見てるかのようにハラハラドキドキ。
「頼む~!今度こそ上手く行ってくれ~!」と念を送りながら、最終12話までずーっと釘付けでした。
ラブ・ストーリーという形を取りながら、誰もが身に覚のある若者たちの不安定な感覚を丁寧に描いてくれます。
高校時代の多感で脆かった頃のことやら、大学生になり自我を探し求めて途方にくれた日々のこと。
彼らのように優秀でもなく、恋愛経験も少なかった私でさえ共感せずにはいられない主役2人の迷走ぶりが、作者独自の優しい視線で綴られているので一瞬も飽きることがないのです。
IMDbは非常に高くて8.5!
トマトの方も90%以上とフレッシュですよ~!!
【追記】2021年ゴールデン・グローブ作品賞、主演女優、主演男優でノミネート!
【ご留意ください】
当ブログは個人が趣味で書いているもので、夜遅くにウトウトしながら感じたままの感想を綴っています。そのため稚拙な文章、品のない物言い、勘違い解釈、天然ボケなどで皆様をご不快にさせてしまうこともあるかもしれません。(その場合は申し訳ございません。)
その点を含めてお許し頂ける方のみ読み進めて頂けましたら幸いです。
また衝撃ネタバレに関してはそのエピソード分の始めに持ってくることもあるのでご注意ください。(内容を順番に書くわけではありません)
「ノーマル・ピープル」予告編とあらすじ
アイルランドの田舎の高校に通うコネルはスポーツ万能の人気スター。
上流階級の家柄のマリアンは反抗的で威圧的な態度を貫き学校で孤立していた。そんな2人は次第に惹かれ合うが、コネルは自分の仲間たちの視線を気にしてなかなか気持ちを表に出せない・・。
葛藤を抱えながらすれ違い、愛と自我を模索する2人の数年にわたるラブ・ストーリー。
「ノーマル・ピープル」視聴方法
アマゾンプライムのチャンネルに登録すると視聴できます。無料期間は7日間あるので、一気見すれば余裕ですね。
期間内に解約しない場合は、月額600円がかかります。
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「ノーマル・ピープル」登場人物とキャスト
とにかく主演の2人が爽やかなのに、刹那的で脆くてとにかくほっとけないんです。
言わずもがなですが、この2人の魅力あってこそのラブ・ストーリーでしたね。
マリアンを演じたDaisy Edgar-Jonesは今年22歳の新人さん。
可愛かった~!この顔だち、少女漫画のヒロインそのものでしょう!
複雑な家庭環境を生き延びたサバイバーとして必死に身を守ろうとする高圧的な部分と、自分の気持ちを率直に伝える素直さが絶妙なバランスで成立していて好感度抜群。
彼女のファッションがまた可愛くて毎回衣装チェンジが楽しみでした。
コネルを演じたのは今年24歳のPaul Mescal。
今気づいたんですが、この作品でエミー賞主演男優にノミネートされてるんですね。
いや~、それだけの演技してましたよ。
始めは「あんまりイケメンちゃうな~」って感じで見てたんですが、あの透明感や不器用なまでの純朴さを繊細なタッチで演じきれる俳優さんはそうそういないでしょう!
独特の青さの優しい目も印象的だし、マッチョすぎない体もいい感じで笑顔が可愛い~。
すぐに好きになりました。
カウンセラーに心の内をぶつけるシーンはまさに圧巻です!
というわけで、ぜひぜひおススメしたいHuluオリジナルなアイルランドの青春ラブ・ストーリー。
「アウトランダー」などの大人のラブ・ストーリーが好きな女子は必見ですね。
映画ってたくさんラブ・ストーリーあるんですけど、ドラマって意外と少ないんですよねぇ。
なぜかというと、ラブ・ストーリーだけで12話も引っ張るのが大変だからかな・・と。
「アウトランダー」のように歴史的な障害を設けて劇的に別れや再会を演出するか、今回のように繊細な心情をひたすら盛り込み、ゆえにすれ違い続ける状況を作るか・・。
サスペンスや青春物語に平行して描かれるラブ・ストーリーは結構あっても、それ自体をメインにするのって至難の業ですよね。
いずれにしても、こうした上質なラブ・ストーリーは貴重なので、ぜひぜひおススメしたいです!
セリフから映像・ファッション・音楽全てのセンスが洗練されていて、とにかくお洒落。感度の高い乙女にも満足いただけると思います♪
*これ以降はネタバレ感想・徹底考察です。
「ノーマル・ピープル」ネタバレ感想と考察
不器用コネル君に共感できるかがポイント?!
貧しくても優しい母に愛され、スクスク育ったコネル君は高校の人気もの。学業優秀、スポーツ万能。
本当なら自信たっぷりにマリアンと接し、堂々と彼女との恋を公表してもいい気もしますけどね・・。
友人達の反感や嘲笑を買って孤立するのを恐れ、そこから逃げちゃうんですね~。
この辺がコネル少年の素朴さゆえの愚かな選択・・。
「仲間外れにされたくないので、内緒にしておこう」という、いかにも高校生男子らしい発想が、その後の2人の運命を大きく歪めてしましました。
まぁね~・・。
その後もコネル君はどうしてもマリアンに真正面から向かい合えない部分がありましたけど、結局あれですよね。よく言うじゃないですか
「男は一番好きな女とは結婚しない。2番目に好きな女と結婚する」って。
そういう要素もちょっと入ってる気がします。
例えばヘレンのような当たり障りのない女性って、男にとって一緒にいるのが楽ですからね。
1番目の女性を選べばそれだけ傷ついた時のダメージが増すし、無意識のうちに回避してしまうのかな。
でも、そうは言っても心と体でガッチリ繋がってるマリアンとは切っても切れない関係ですからね。
どんな犠牲を払おうとも一緒になる!と腹を決めるしかないでしょうと、傍からは思うわけすが・・。
繊細で自己肯定感の低い2人には、それが想像以上に難しいのです。
やたらと多いベッドシーンには意味がある!
2話を見た時には「あらら、どうしましょ」とギョッとしましたが、最後まで見て振り返るとベッドシーンの一つ一つに意味がありましたね。
2人が根底にしまっているアツい想いが顕在化する瞬間ですから行為自体がリアルなのはもちろんのこと、陳腐なセリフよりも多くを語る大事なシーンになってました。
っていうか、実際のところ2人とも結構ハッキリ感情を口に出してるんですけどね~。
問題なのは受け取る側で、どうにも自信がないせいか額面通りに受け取ってくれず、結局ちょとした言い間違いや言葉尻が原因になってすれ違うこともありましたよね。
その辺りがあまりに不合理なので、マリアンの勘違いから別れることになった後にジェイミーと付き合い、変なプレイに走ってしまった彼女の心情も理解できますよね。
自分を貶め痛みを感じることで、自傷行為に似た衝動を具現化し孤独や空虚さから逃げていたのでしょう。
自分をみじめな存在にすればするほど、「こんな自分がコネルに愛されないのは当然だ。」「誰からも愛されないのは当然だ。」と、ある部分で正当化できるわけですからね。
結局のところ、彼女の問題は生まれ育った環境と虐待に根付いているものなので、そこから脱却し、本当の自立を果たすためには遠い土地(スウェーデン)で一人になる必要があったというのも説得力がありました。
心が落ち着きを取り戻し、美しい風景にも感動できるようなったマリアン。
毎回エピソードの最後は余韻が漂いまくる音楽とのマッチが絶妙なんですが、ここだけは静寂でしたね。
にしても、既に傷ついている少女の自傷行為に便乗する男たちの浅はかで情けないことったら・・!
ジェイミーにしても、スウェーデンのカメラマンにしても、男ってみんなそんなもの?と思ってしまうほどガッカリ。
(虐待されてきたマリアンは、本能的にダメ男を見抜く力は持っているのが厄介ね)
そんな彼女を画面で見続けるのは悔しくて仕方なかったんですけど、再びコネルを取り戻し、少しずつ本来の愛のカタチに戻っていく様子がまた美しくて感動的でしたね。
マリアンの家族はなぜそんなに冷たいの?
まず、なんですかね?あの金髪兄は。
あまりに薄っぺらで典型的な意地悪キャラなので思わず懐かしのアニメ「キャンディキャンデイ」のニールを思い出してしまいました。
似てる?
やたらと世間体を気にしてビクついてましたが、100歩譲ってあの妹イジメの理由を理解しようとするならば、こんな感じ?
- 地元の名家を継ぐものとしてのプレッシャーに潰れそう
- 幼いころから自分より優秀だった妹に劣等感を抱いてる
- 母を殴る父を見てきたので、男の権威はそういうものだと思ってる
- もしかして、亡くなった父がマリアンを可愛がっていた可能性も?
なんにしても気の毒な男でしょ。
でもこんなニールキャラがいるからこそ、白馬の王子様が助けに来た時にはスカっとするわけですよ~。
ニールを壁に押し付けて「二度と彼女を傷つけるな。傷つけたり酷いことを言ったら俺がころす。」って、痺れる~。
とはいえ、母の方はよく分かりませんね。なぜあそこまで冷たいのか。
夫を亡くし、残された後継ぎ息子を溺愛してしまうのは多少理解できますよね。
マリアンの肩を持とうとでもしたら、奴からどんな反発が来るのかもよ~く知ってるでしょうし、とりあえず面倒なことは勘弁よタイプですしね。
彼女自身も夫から殴られていたとのことで、一人残された後も心の空洞を埋められないのかもしれません。
それか、息子にそんな夫の片りんを見ているのかな。
コネルの母が素晴らしい
最終的にコネルとマリアンが正しい選択をし、相手を思いやり愛し合う日が来るだろう。というのは、この母の存在だけで予見できましたよね。
息子であれ、女の子を弄ぶような卑怯な真似は許さない。
という潔癖な倫理観を貫ける母がどれだけいますかね?
マリアンの駄目母との対比が見事で、このドラマを面白く肉付けしてくれてました。
階級格差の問題もさりげなく盛り込んである
原作者のサリー・ルーニーは「思想的に自分はマルクス主義」と公言してるそうですが、分かりますよね~。
もうメチャメチャ金持ち嫌いでしょ~!
金持ち組はあのニールにしても、駄目母にしても、暴力夫にしても、救いのないダメ人間として描かれているのに対し、シングルマザーとして貧しくも気高く生きてるコネル母はどこまでも温かく、愛情豊かな母の象徴ですからね。
それと、コネルの部屋の狭いことったら!笑
マリアンの家との対比を強調したいのは分かるけど、「もう少しベッドを大きくしてあげて~!」「テレビ近づぎ~!」と余計な心配しちゃったわ。
そんな中、マリアンが最後に家を捨て、自立の道を歩むところも最高でしたね。
そうだ、そうだ~、そんな金は頼らずとも生きていける~!と100%応援したい気持ちになりました。
あのラストはどうなのかな?
文芸作品としては最高にしっとりなエンディングでしたね。
互いに助け合いながら成長した2人が、「もう自分達は大丈夫。」と確認し合い、互いの道を話し合う。
さすがにアメリカンなハッピーエンドは無理だろう・・覚悟はしてましたが、やはりそう来るかぁ・・。というヨーロッパ作品ぽい終わり方。
でもその前のシーンでは、故郷にカップルとして堂々と戻り、同級生たちと再会した時にも普通にイチャイチャしてましたからね。(コネル君が始めからそうしていればねぇ・・)
あの幸せな瞬間だけでヨシとしましょう!
もうね~、ラストに涙を流すコネル君の気持ちが手に取るように分かるので「そうだよね~。離れたくないよね~」っと共感しまくりでしたよ。
(でも、マリアンがなぜNYでなくあの場所がいいのか不明でしたが・・)
1年間離れることになるそうですが、きっとスカイプがあれば大丈夫!
大丈夫であってくれ~!!
「ノーマル・ピープル」以降のマリアンとコネルの物語がある!
実は彼らが23歳の時の様子を綴った短いストーリーがあるのですが、こちらが「ノーマル・ピープル」よりも先に書かれていたそうなんです。
本当に短い小編なのでウェブ公開されているthewhitereviewというサイトの方でサクッと読めます。
「At the clinic」というタイトルですが、マリアンが親知らずを抜きに歯医者に行くのに、コネルが付き合い、会話を重ねていくエピローグ。
ってか、エピローグじゃないな。
だって、まだ同じこと繰り返してるんですよ!?
マリアンはまたそっち系の彼氏と付き合っていて、コネルも別の彼女がいて・・、でもどっちも別れたばかりなので今はフリーで・・。みたいな。
なのであの後の2人というよりも、逆にこの時の小編から着想を得た物語を膨らませて、何年もにわたる2人の成長物語として描いたのが「ノーマル・ピープル」という感じかな。
個人的にはあれだけ間違いを犯し、傷つけあった2人が、あれ以降も懲りずにつかず離れずの関係を繰り返してるとは思えないので・・。
特にマリアンがまたそっち系の男を選ぶことはないと思う。
というわけで、高校生~大学生までの心情を大人目線で丁寧に描いた良作「ノーマル・ピープル」は最高でした~。
コメント
コメント一覧 (2件)
わたしもマリアンが家族からどうしてあんな仕打ちを受けているのか知りたかったです。あんまりでしょ…
高校生の息子持ちの私、コネルママを目標にしたいと思います。
息子さん、もう高校生ですか!
コネルママいいですよね~。若い時に産んだみたいでしたね。
私にはハードル高すぎなので、もう少しへなちょこ母で娘達には勘弁してもらいたいです。笑
そうそう原作者の金持ち嫌いが滲み出てましたね。もう少し同情的に説明があってもよかった気がしますが・・。