*前半はネタバレなしの感想と登場人物紹介。後半はネタバレありの感想です。
海外ドラマ専門のブログですが、たまたま飛行機で見た「クワイエット・プレイス」が面白かったので今回は初挑戦!
最近は映画情報自体に疎くて前情報一切なしで見たんですけど衝撃的な面白さでした!
まず見始めてすぐ分かるのが、これが地球滅亡型のエイリアン襲撃ものだということ。
ん?こういうのは、どっかでも見たぞ~。
シャラマン監督の「サイン」もこんな感じで家族の視点で描かれていたし、エイリアン襲来で地球が危ないという設定も似てる?(ただあっちは着ぐるみ感満載だったけど・・。→
ちなみに頭がビラビラになってる感じは「ストレンジャー・シングス」のエイリアンそっくり。)
そういうありがちなパターンで「目が見えないけど、耳が異常にいいエイリアン」という設定ものかなぁ・・。
音を立てたら次の瞬間「シャーー!」っとどこからともなく現れ、アッというまにカマキリのような腕でズタズタにされて食われるというのが新しいだけの企画もの?
なんて思ってたんですけどね・・。
いや、確かにそういう設定の妙はありましたし、これが予想以上に恐ろしくて面白かったのは事実ですけど、それ以上に素晴らしかったのが洗練されたドラマチックな脚本と俳優陣の緊張感みなぎる演技でした!
いや~、本当にすごかった!
サスペンスと人間ドラマとホラーが見事に融合されて、一瞬の無駄もないシーンが最後まで続きました。
まさに、これぞ映画!
連続ドラマのじっくり深く進む感じも好きですけど、映画の醍醐味はやっぱりこの凝縮されたスピード感なのか~!と思わせる緻密に計算された脚本が最高過ぎて感動でした。
【ご留意ください】
当ブログは個人が趣味で書いているもので、夜遅くにウトウトしながら感じたままの感想を綴っています。そのため稚拙な文章、品のない物言い、勘違い解釈、天然ボケなどで皆様をご不快にさせてしまうこともあるかもしれません。(その場合は申し訳ございません。)
その点を含めてお許し頂ける方のみ読み進めて頂けましたら幸いです。
また衝撃ネタバレに関してはそのエピソード分の始めに持ってくることもあるのでご注意ください。(内容を順番に書くわけではありません)
「クワイエット・プレイス」登場人物とキャスト
「クワイエット・プレイス」の劇中に登場するのは5人家族の一家だけ。
この5人だけで全てを物語るんですけど、絶望的な緊張感の中でも普通の生活を送り(子供に勉強を教えたり、洗濯したり・・)、必死に生き残ろうとしている姿には半端なく感情移入してしまいます。
母親役のエミリー・ブラントは言うまでもないですけど、なんといっても印象的だったのがこの娘役のリセント・シモンズ!
彼女がとにかく素晴らしい!
よく迫真の演技とか言いますけど、そもそも演技自体をしているように見えないんです。
子役の演技って頭使ってる感じだとすぐ分かっちゃうんですけど、彼女の場合は表情が素朴でそのまんま。
本当に体全体で恐怖を感じてるから表情が自然と付いてくる・・という印象なのです。
弟君の方もそんな感じだったので、監督さんが上手く引き出してるんでしょうかね・・。
ちなみに、耳が聞こえないという役柄でしたけど、彼女自身も聾者だそうです。
父親役には実生活でもエイミー・ブラントの夫のジョン・クラシンスキー。イイ男なのに髭で隠して余計な要素を排除してますね。(体も実はすごいマッチョ)
誠実に家族を思いやる父親を一途に演じていました。
「クワイエット・プレイス」ネタバレ無の感想
物語自体は非常にシンプルでわかりやすい。
この破滅的な世界で親が必死に子供を守り、育てていく話。
でも怖いのがですね・・、なんとなんと、気が付けば母のお腹が大きいのです!
うっそ~!この状況で妊娠しますか!???
オギャー!と赤ちゃんが生まれた瞬間に、シャー!っと奴らがやって来て家族全滅でしょ~。
もうそれは無謀を通り越して頭おかしいんじゃない!?と突っ込みたくなるわけですが、この理由となる背景もしっかり説明されてるし、出産対策やら赤ちゃんの泣き声対策やらもなにやら考えられている様子・・。
うーん、これはかなり興味深い。
果たしてこの壮絶なチャレンジが実際のところ成功するのか?どうなのか?!というスリルと恐怖がたまらんのです!
そして、涙なくしては見れない家族の愛のドラマが素晴らしい!!
サスペンス要素も丁寧に伏線を張って回収していく手法で盛り上げるし、ホラーとしても最高に怖い!
耳の聞こえない長女の存在感も物語に重みとリアリティを与えてるし、エンディングは予想外でこれまた最高!
という訳で、この映画は何となくいろんな映画に似てるようで、そのどの映画よりも頭一つ抜け出してクオリティが上回ってました。
一歩間違えると陳腐になりがちなエイリアン襲撃ものをベースに、よくここまで洗練された形で「家族の愛」を描ききったなぁ・・と。
誰が見ても大満足の映画だと思います!
*これから先はネタバレありの感想です。
「クワイエット・プレイス」のネタバレ感想・考察
恐怖の重なりが盛り上がる!
もうね、一番私が怖かったのはあの釘だわ・・。あれはやめて~!観客に対する嫌がらせでしょ。
元々曲がっていたのを洗濯物の袋に引っ掛けて上向きになっただけなんだから、手でクイっと曲げればいいだけなのにさ。
わざわざあのままにしておくもんだから、「あぁ子供達が踏んだらどうしよう!」とずっと気になって怖かった~。
それに、恐怖の血みどろ出産・・。
普通の分娩なら生まれる前にあんなに出血しないと思うのに、既に大量の血が流れてる時点で怖い!
もちろん赤ちゃんが生まれた時の泣き声はどうするんだろう・・とか、母の悲鳴は抑えきれるのか・・とか。
いや、本当、産んだ人なら分かると思うんですけど最後の瞬間は絶対声が出ちゃうようにできてるんですよね。
花火のタイミングが奇跡的に合ってくれたので良かったですけど、もう怖かった~。
生まれたら生まれたで、今度は可愛い赤ちゃんが心配でいられないし、一瞬も休ませてもらえない!
それに子供達も最初は一人一人バラバラなので、これも恐怖が倍増だったわ。
合流した時は本当にホッとしたけど、そしたら容赦なくエイリアンが襲い掛かかってくるし!
・・と、もう!どんだけ心配させるのよ!!!という、何層にも重なる恐怖の連続で怒涛の盛り上がりでした。
それだけ要素が色々あると、普通バタバタな印象になっちゃう気もするんですけど、これを上手くまとめていうのが伏線の使い方と家族のドラマ。
あの滝での話が、母が赤ちゃんを守る場面で再現されていたし、父の愛情の証の補聴器も小道具として生かされてた。
周波数を増幅させるという話がありつつ、彼女に近づいた時にエイリアンが嫌がっていた場面もありつつ、上手に最後のエンディングへと繋がっていました。
やっぱり子役達が最高!
そういえば、車に逃げた子供達をエイリアンが襲うシーンは元祖ジュラシックパークの子役2人が車の中でティラノサウルスに襲われるというシーンによく似てましたよね。
あちらの子役達はとにかくキャーキャー言って騒いでましたけど、見てるこちらはそれほど怖くない。(スピルバーグだから子供は死なないっていうのもあるけど)
一方、今回の2人は声が一切出せないというのに、恐怖がビンビン伝わって本当に怖かったぁ~。
穀物の倉庫みたいなところで蟻地獄に陥る彼らが、必死にお互いを助け合う場面でも強い兄弟愛を感じましたよね。
それとラストのシーンで、エイリアンの弱点を発見して勝利を垣間見た時のお姉ちゃんの表情も抑え気味で良かった。
母さんの「さぁ、反撃開始よ!」というドヤ顔を際立たせてました。
それと、もちろんこの映画をただの恐怖映画にしていないのが家族の愛のドラマ!
始めに末っ子君を失い、家族全員が深く傷つき悲しみの底に落とされます。
特に長女の胸の内を想うとこちらも辛い。
それがマックスで押し寄せるのが、彼女が弟君の亡くなった場所におもちゃの飛行機を供える場面・・。
これをピカピカ点灯させてそっと置いた時はもうあまりの切なさに号泣でした!
そして、そのことで父が怒っていると感じていた彼女の苦しみを、姉想いの弟君が父に伝え、父がその愛を自分の死でもって伝えるという・・。
死に際の父の手話もたまらないし・・。
そもそも今回こんな無謀な妊娠・出産に挑むことになったも、恐らくはこの末っ子君の死に苦しむ母と父が出した「答え」だと思うし、全てが繋がってるんですよね。
ラストにしても、長女が父がホワイトボードに書き残したメモから機転を利かせて弱点を発見するという場面もまぁ憎い。
親が子を守ろう守ろうとする中で、窮地を救ったのは子供の方だったという・・。
全てのシーンが計算されて無駄がなく、恐怖と家族の愛だけがビンビン伝わってくるように組み立てられていました。
それにしても悔しいのは父の死
あぁ、大黒柱のお父さん死んじゃって、今後この世界で赤ちゃんと子供達だけでどうやって母は生き残って行くつもり??!絶対無理だわぁ!
と絶望的な気持ちになったところで、最後の大勝利が待っていましたけど、これもまた絶妙でしたね。
そのために父の死が必要なシークエンスだったのは分かりますけど、なんとも残念、無念。
だって、準備次第では何とかなったのでは??とついつい考えちゃう。
例えば、爆竹爆弾みたいなのを作っておいて、常に腰のところにそのボールを何個かぶら下げて置いたりすれば、万が一音を立ててしまった場合も、それを5メートルくらい先にでも投げれば助かりそうじゃないですか?
別の場所でパンパンなっていればそっちに行くはずだし、目が見えないんだから近くで息を潜めていればほんの2メートルだっていいはずでしょ。
あとさ、ベッドのマットレスで入り口をふさいだ地下室なら声を出しても大丈夫っていうなら、始めからそこで生活しとけよ、とか、そこで出産するために臨月になったら家族全員でスタンバってないとダメでしょ、とか、まぁ色々突っ込んじゃいますけどね。
うーん、悔しい!今一つ準備が足りなかったのかな~。
ちなみに、父が死ぬ場面で悲しい雄たけびを上げるところにも、ちゃんと伏線がありましたよね。(妻を失った男が絶望して上げた雄たけび)
本当、いちいち凝ってたなぁ・・。
「サイン」も家族で戦い、最後はエイリアンの弱点を発見する形で終わってますけど、こっちはまずエイリアンが全然怖くなかったし、弱点発見までの流れも突然過ぎて「ん?」という感じ。
比べるとこの映画がよく出来てるのかがわかりますね。
まぁサインは宗教色の強い、リアリティを超えた部分での映画ではありましたけどね・・。
あと、この映画、無理やり続編作ろうと思ったら作れそうかもしれないですね。
母ともう少し成長した子供達3人とで新たな戦いに挑む・・というテーマで作ってもらえたら、今度はかなり強気の家族の姿が見られそう。(ただちびっ子がまた心配だけど。)
弱点が分かった以上、あとは工夫次第でどうにでもなりそうですからね。
一作目より衝撃度は落ちそうですけど、また脚本次第では面白い戦いが見られそうだし、なによりあの家族の今後が気になります。