*前半はネタバレなしの感想と登場人物紹介、後半は内容に触れた感想です。
久しぶりにhuluで凄いドラマを見てしまいました。
「ブレイキング・バッド」の製作陣が手掛け、アメリカでの評価が驚くほど高いヒューマンドラマということで、前から楽しみにしてました。
タイトルの「レクティファイ(再生)」の通り、死んだも同然に生きてきた男が新たな可能性を得て突然外の世界で生き直すことがテーマになってます。
【ご留意ください】
当ブログは個人が趣味で書いているもので、夜遅くにウトウトしながら感じたままの感想を綴っています。そのため稚拙な文章、品のない物言い、勘違い解釈、天然ボケなどで皆様をご不快にさせてしまうこともあるかもしれません。(その場合は申し訳ございません。)
その点を含めてお許し頂ける方のみ読み進めて頂けましたら幸いです。
また衝撃ネタバレに関してはそのエピソード分の始めに持ってくることもあるのでご注意ください。(内容を順番に書くわけではありません)
「レクティファイ 再生」予告編とあらすじ
https://www.youtube.com/watch?v=SAEITjqcpy0&feature=emb_logo
18歳の時に当時付き合っていた彼女を暴行・殺害した罪で死刑判決を受け、その後19年間を独房で過ごしてきたダニエルが、ある日DNA鑑定で精液が別の人間であることが明らかになり釈放されるところから物語は始まります。
ところがですね、釈放されても無罪放免で晴れて自由の身になった訳ではなく、まだまた今後も起訴される可能性が高く、戻ってきた古郷でも彼が有罪だと信じる輩が多いのです。
うーん、これはまた辛い・・。
せめて完全な解放だったら救いがあるのに。
19年前での取り調べ中にダニエルが自白したこと、ハナの死体発見時にダニエルがそばで手をつなぎ助けも呼ばずにいたこと、などが不利な材料となっているわけですが、実際に彼の有罪を声高に叫ぶ人たちの大半は非常に感情的で、根拠のない怒りと偏見に満ち、「ダニエル以外にあり得ない」の一点張りで他の要素に目を開く気がまるでないのです。
ただでさえ困難な「日常の再生」に挑むダニエルを周りの人間や状況が簡単に許そうとしない中で、彼や家族が置かれる不安定な日常は一層緊張感を強め、ドラマをただの再出発ものにしてません。
そして、もう一つは「一体誰がハナを?」「ダニエルが犯人なのか?」という謎解き要素。
彼を信じるという家族の中にも、「ヤツがやったに決まってる」という義理の弟がいたりして一筋縄ではいかないのです。
「レクティファイ 再生」登場人物とキャスト
ダニエル役のエイデン・ヤングは初めて見た役者さんですけど、前から知ってるような親近感を感じますね。(誰かに似てる?この角度だとブレンダン・フレイザー??違うか。)
独特の語り口はスローで朴訥としていて、一瞬冒頭では「ん?フォレスト・ガンプのような愚鈍キャラか?」と思わせるんですが、これこそが刑務所の独房で死を見つめながら過ごしてきた者故の姿なのだと徐々に気付いていくわけです。
実際のところ、狭い独房で彼は本を読み続け、知的レベルは非常に高いことが分かってきます。
それでも妙に謎めいてるんですよね~。
子供のように純粋で幼い部分もあるかと思いきや、自分を敵対視するテディ(義理の弟)には暴力的な側面も出して見せたりするし。
捉えどころのない主人公ですが、この謎めいた部分がドラマの面白さのミソですね。
物語が進むにつれ怪しい側面も感じさせるし、その辺は「ザ・ナイト・オブ」のナズ君が過酷な刑務所生活で意外な人格が露わになっていくにつれ、「本当は彼がやったのかも?」と視聴者に思わせていく感じとちょっと似てますかね。
ダニエルの妹で力強く兄をサポートするアマンサ。
綺麗なのに目茶目茶気が強い!でも愛情深くて気遣いも繊細という魅力的な女性。
彼女は画面に映ってるだけで華になるし、見ていて最高に頼もしい。
彼に手を差し伸べる義理の妹タウニー。
このアデレード・クレメンスもすごく自然体でいい味出してるんですが、顔がミシェル・ウィリアムズを薄くした感じなんです。
笑うと口の形が完全に同じで、妹かと思ったくらい。
宗教心は篤いものの、ナイーブで孤独な女性を演じています。
ちょっとした会話にこれだけの儚さと煌めきを漂わせる存在感はただモノじゃない!
ダニエルの義理の弟のテディ。
ダニエルに無神経な質問を繰り返す、南部の田舎町を代表する単細胞男。
可愛いタウニーの夫だけど、結構年齢行ってそうだわ。
「レクティファイ 再生」S1は6話じゃ足りない~!
とにかく内容が濃く、グッと惹きつけられる世界観がたまりません!
ダニエルのキャラ設定も徹底して検証し、人生の大半を失った男が20年後にどうバランスを欠いていくのか、あの独房で一体何を保ち、何を失うのかをしっかり描き切ろうとしているのが感じられます。
(まぁ、ダニエルに関しては、始めからちょっと変わった性格だったようですけど・・。)
独房で壁を隔てて会話する仲間とのエピソードは本当に感動的。
死刑制度にも疑問を投げかけているし、生きる事、死ぬことに真っ向からテーマを据えて挑んだ意欲作です。
でも面白過ぎて6話じゃ足りない!せめて1シーズン8話は欲しかった!
・・と、思ったら、実はもう本国ではシーズン4まで出てるんですね・・。
なんだ~、新しいドラマじゃなかったのか・・。
こうなったらhuluにシーズン4まで次々配信してもらうのを期待するしかないですね!
*ここから先はネタバレ感想です。
「レクティファイ 再生」S1のネタバレ感想
カーウィンに泣いた
カーウィンって、ダニエルの隣の独房にいた死刑囚です。
処刑の日のエピソードが、この6話の中で一番エモーショナルに盛り上がった場面でしたね。
「俺には分かる、君は無実だ。」「なぜ分かる?」の後の、
Because I know you, because I know you, because I know you.
の三連発が重くて切なくて・・。
涙を流しながらも、ダニエルの顔が見れた瞬間に出た笑みの可愛らしいこと!
こんな彼が幼女を・・なんて信じられない・。
ダニエルをブラザーと呼んで語りかけてましたけど、もしかしたら過去にこれほど心を開いて交流してきた友達がいなかったのかな・・、もしいたらこんな犯罪を起こさずに済んだのかな・・とまで思ってしまうbecause I know youだったし、意外なほど小柄なカーウィンが両脇を抱えられ処刑に連れていかれる様子には涙が出ました。
アメリカの死刑制度
ここってジョージア州ですよね。
まだアメリカには死刑制度が残っている州が多いというのは知ってましたが、驚いたのは被害者が1人でも死刑になってるところです。
日本の場合、永山基準(被害者4人)と呼ばれる過去の判例を判断基準にする慣習があるようで、複数人をころし、悪質で、目撃証言などの明らかな証拠がある・・とある納得できるものがありますけど、一人だと何を基準にして決めてるのかな。
そこに市民感情が介入していないとは言い切れないですよね。
カーウィンのいた独房が簡単に掃除されて、「はい、お終い」となる様子が、人間一人を簡単にこの世から消してしまう残酷さを表してましたね。
私の旦那は欧州人なので、やはり死刑制度は残酷で非人間的かつ非文明的な制度だと非難されることが多いんですが、日本は今後どうなっていくんでしょうね・・。
二言目には「だから日本人は世界から野蛮人だと思われるんだ」と言われてますけど、くっそ~~っと頭に来るだけで、上手く返す言葉が今のところないです。
まぁ、私が素人ながら思うのは、日本の場合「終身刑」と「死刑」の差が大き過ぎのかなぁ・・と。
終身刑といいながら仮釈放で早めに出てきたりするじゃないですか。
欧米のように極悪犯罪には禁固300年の刑とかで、絶対出れないようなシステムがあればいいんですけどね。
犯人は誰?
ダニエルは違うと思いますよ!
もうこの際、その根拠となるものはカーウィンの言葉で十分でしょう~!
いや、この先このドラマにどれほどのどんでん返しが待っていようとも、あのカーウィンの死に際の言葉を裏切る結果にはならないはずだし、実際ダニエルにはころす動機がないしね。
気になるのは自死した男ジョージと、彼と話していたトレイですね。
2人の話しによると、どうもハナは身持ちの良くなかった娘さんだったようで、大分遊んでいたみたいですね。
その日に暴行されたというのも、もしかしたら普通にセックスしていただけの可能性も否定できませんね。(あの警察の様子だと、性犯罪かどうかを判断する検視も甘そうだし)
もしくは本当に複数の男に襲われ、それを発見したのがダニエルだったのかも・・。
あと、最後にトレイがジョージの死体を川に流していたのはどうしてだろ?
発見されやすくするためか、死体を消す為なのか、どちらかが分からなかったけど。
ジョージの死体で事件の別の側面が明らかになりそうだったのに、これで消えちゃったら残念ですね。
ダニエルがついに狙われた!
ハナの弟が仲間とつるんでダニエルを襲ってましたが、本当に酷いですね。おしっこかけてましたよ・・。
ハナの母親も大量の人形を集めたりして(供養のため?)問題がありそうでしたけど、彼の方もメンタル的にかなりキテそうです。
真犯人が出てきたら、どんなことになるんだろ。
ようやく少しずつ妹や母親と絆を深めて来ていた矢先だったので、今後のダニエルが心配ですね。
ただし、世論的にはダニエルにいい風向きになっていくのか・・?(酷い話だけど)
そうそう、そんな田舎町でもダニエルに対し同情的でフェアな見方をしてくれる人たちもいて、そんな人たちとの出会いは毎回感動的でしたね。
私が特に好きだったのは、あのかつての同級生で美容院を経営していたオバちゃん。
あんなギョッとする勇気ある提案ができますかね?!
情の深さを感じさせる肝っ玉母ちゃんでしたけど、個人的にはモヒカンのジョークが好きだったわ。
という訳で、早くシーズン2の配信して欲しい!!
でも、こんなに評価の高いドラマなのにエミー賞とかもらえてないんですよね。
(評価はすごく高いのにノミネートがないのは、内容的に地味で通向けで、多くのエミー会員がドラマを見ていないからじゃないか・・という記事もありました。批評家協会賞は色々受賞してます。)
確かになぁ、エミー賞を狙うならもう2話くらい追加して、さらにもう1歩突っ込んだ展開が必要だったのかな。
情緒的にはすごく面白くて感動的でしたけど、犯人捜しの展開に関しては起承転結の「起」で終わっちゃってた感じですもんね。
その部分でもシーズン2以降にしっかり踏み込んで、ク~ッ!と唸らせて欲しいですね。
シーズン2はこちらです。↓