Netflix映画「ディストピア パンドラの少女」のアニスの感想です。前半はネタバレ無。後半は有で書いてます。
Netflixで最近配信が始まったゾンビホラー「ディストピア」。
新作ではなく2016年製作のイギリス映画で、比較的高い評価を受けたみたいです。
さっそくですが、ポイントはこんな感じでしょうか。
- いまさらなゾンビ物だけど、描き方が新鮮で怖い!
- 子供が主人公で色々切ない
- ゾンビ菌やその特性に焦点をあてている
- 哲学的な角度から攻めていて斬新
- 定番のサバイバル要素もしっかりあって、ハラハラドキドキ!きゃー!
原題は”The girl with all the gifts”で、この”gift”をどう訳すかは見た人の感じ方次第かと思いますが、敢えて私みたいなものが訳すとすれば、「全ての可能性を持つ少女」という感じでしょうか。
私は予備知識一切なしで見たんですけど、おかげで場面展開する度に「へ~!こうなるの!?」と新鮮な驚きをもって楽しめました。
一つ確実に言えるのは、普通の映画のようには先の予測がつかない!ということ。
【ご留意ください】
当ブログは個人が趣味で書いているもので、夜遅くにウトウトしながら感じたままの感想を綴っています。そのため稚拙な文章、品のない物言い、勘違い解釈、天然ボケなどで皆様をご不快にさせてしまうこともあるかもしれません。(その場合は申し訳ございません。)
その点を含めてお許し頂ける方のみ読み進めて頂けましたら幸いです。
また衝撃ネタバレに関してはそのエピソード分の始めに持ってくることもあるのでご注意ください。(内容を順番に書くわけではありません)
「ディストピア パンドラの少女」予告編
本当はこの予告編も見ずにNetflixで直接見て頂きたいんですけど、一応貼っておきます。
「ディストピア パンドラの少女」のキャストを簡単に
このメラニーという少女を演じるSennia Nanuaは凄い存在感ですね。
逞しいというか、自立してる姿が逆に切ないというか、難しい役柄に思い切って挑戦してます。
メラニーが慕う先生役には「007 慰めの報酬」「タイタンの戦い」のジェマ・アータートン。
可愛いし、絶妙な情感溢れるお顔が映画をより刹那的に見せてくれます。
パークス軍曹を演じるパディ・コンシダインも有名な役者さんで、悪役でよく見かけますね。
そして、なんと!博士役にグレン・クローズが出てるんです!
ゾンビ映画にグレン・クローズ??と驚きますが、彼女の出演は大きいですね~。
ゾンビ物なのにチープさを感じさせないのは彼女のおかげと言っていいかも。
「ディストピア パンドラの少女」の結末については賛否両論ありそう
私は好きでしたけど、人によっては賛否両論ありそうな、大きな問いを投げかけるラストでした。
もうこれ以上はネタバレになるので書けませんが、恐らく、この映画の評価の高い所以がそこにあるのだろうなぁ・・と思います。
その辺については後半のネタバレ有の方で書かせて頂きますね。
哲学的とはいえ、バイオレンスアクション要素もふんだんにあるし、「ウォーキング・デッド」好きな方にも自信を持ってお勧めできるゾンビ映画!
個人的には「ワールドウォーZ」に次ぐぐらい同じくらい面白かったです!
*ここから先はネタバレ有の感想です。
「ディストピア パンドラの少女」のネタバレ感想
隔離され実験台としてしか扱われない子供達については、イシグロカズオの「わたしを離さないで」のような切なさがありましたね。
ワクチンを作る為に、最後は犠牲になるだけの命・・。
心を寄せる先生の涙が胸を締め付ける・・
ところが、そこから大きく物語は展開して行くわけですが、この序盤の問題提起についても、いろんな意味でラストへの伏線になっていて良く出来ていました。
それと、地下牢のような場所からラボへ、野外へ・・と徐々に世界が明かされて、状況が説明される感じもワクワクして好きでした。
やっぱりゾンビってその映画によって全然違いますからね。
この映画は全速力型で最高だった~!
やっぱり猛烈に走ってくれないと面白くない!
「ウォーキング・デッド」のスロ~なウォーカーなんて、もう全然怖くないですからね。
ゾンビ菌の特性が興味深い
第2世代の子供達が異様に進化して、人間よりも知能的にも運動機能的にも優れているとか、しばらくすると第一世代は植物になって種を作るとか、色々設定が面白かったですね。
なんとなくですけど、「なるほど~あり得そう・・」と思わせる不思議な説得力もありましたしね。(グレン・クローズに説明されると納得しちゃうのよ。)
最後は病原菌なのか、人間を乗っ取る宇宙人なのか、よく分らない感じになってましたけど、これもウイルスの摩訶不思議ですよね。
第一世代(人間)が感染すると、
- 基本的に感情や理性を失い(例外的に母性を見せた乳母車の母がいたけど)
- 肉を食らうだけの屍になり
- その後腐って植物に同化していく
ところが、
これが第二世代になると
- 人間よりも優れた知性で言葉もすぐ覚える
- 運動能力も抜群
- 嗅覚などの野生の感覚も鋭い
- 感動も理性も兼ね備える(少なくともメラニーには理性で野生を抑えようとする場面があった)
ふ~む・・。そうなるともう「人間」は用無しなのかしら・・。
衝撃のラストは・・!
グレン・クローズも頑張ってましたけど、最後は食べられちゃいましたね。
敗血症って抗生剤を打っても間に合わないことがあるのかぁ・・。恐ろしい。
やっぱりゾンビ世界に絶対不可欠なのは水、食べ物、抗生剤ですね。
結末の方ですけど、結局人間は滅びて彼らが地球を支配していきそうですね。
でも、彼らに文化的な教育を施すのは皮肉なことに人間の「先生」なんですよね。
最後、あの車両型ラボから一歩も出られなくなって涙を流していましたけど、一体どういう涙なんでしょうか。
人間が滅亡したことか、死ぬまであそこから出れなくなったことか、はたまたメラニーをワクチンの為に犠牲にし切れなかったことを「過ち」と悔やんでのことなのか・・。
きっと最後は違うでしょうね。
じゃないと、あんな風に未来を見据える形で「先生」を続けられないでしょうし・・。
一方のメラニーは晴れ晴れとした表情で疑問の入り込む余地がない!
最後も自信に満ち溢れた表情で、「時間はたっぷりある!」と幸せそうに言ってましたね。
先生を独占できて、ようやく彼女の念願が叶った形でしょうか。
外に出れない先生の為に猫の写真を貼ってあげるのも皮肉ですよね。
猫の写真は彼女が軍事施設に閉じ込められていた時に、そっと壁に貼って眺めていたものなので、先生にもせめてもの慰めに・・ということでしょうか。
それとも、メラニーにとっては「おいしそう」な対象だったりして・・。
人間優位な考え方への警鐘ってこと?(ネタバレ)
うちの長女が今8才でメラニーと同じくらいの年なんですが、最近
「どうして人間は動物を殺して食べていいの?」
「虫を殺すのは良くないのに、なぜ人間はしていいの?同じ命なのに!」
というようなことを言い出して、(めんどくさくて)困ってます・・。
大人にとっては当たり前すぎて思考停止してる部分をを説明するのは正直疲れるんですけど、「弱肉強食」理論や「そういう風にできている」的理論でなんとかごまかしてます。
でも、食い下がるんですよ~。
子供って本当に真っ白なので、時々恐ろしいほど哲学的な質問をしてきて参っちゃうんですけど、でも突き詰めれば「地球環境を人間の経済活動の為に破壊していいのか・・」なんてことにも繋がりそうで、意外と奥が深いかもです。
この映画も同じような疑問を投げかけてるのかなぁ・・。なんて、漠然と思いました。
時々こうやって普段考えない部分に斬り込んでもらうのも新鮮でいいですよね。
私はかなり面白く見せてもらいました。
ではまた~!